「若いうちに終身保険に加入する必要はない」と言い切れるのか?
先日、「保険完全ガイド最新版 保険辛口ランキング50(賢遊舎)」というムック本が目に留まり、面白そうなので買ってみました。
「ライフネット生命は20代でないと安くない」「アフラックの告知書は他社より有利」など、ためになる記事もありますが突っ込みどころも満載でした。
このブログでは、終身保険の活用や効用など書くことが多く、実際に高齢になって最後の砦となりうると思います。
(死ぬまで返さなくていい借金http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/entry/1821.html)
この「保険完全ガイド・・」には、老後の備えとして明確に記述はありませんが、「お葬式代」として終身保険は有効である、とは書かれています。
そして、その終身保険の加入についてですが「終身保険は(掛捨ての定期保険に比べて)保険料が高いので、大きな保障が必要な若い時期には不要で、子育てなどが終わる時期にそれまで貯めたお金で<一時払い終身保険>に加入すべきである」と説いています。
確かに、貯蓄性があり保障期間が長い終身保険の保険料は、掛捨てのもに比べて高いです。
小さいお子様がいて大きな保障が必要な世代に対して、少しでもコスト(保険料)を安く収入保障(これもほぼ掛捨てです)を利用しましょう、というのは理にかなっています。
しかし、若いうちはすべての保障を掛捨てにして、多少の貯蓄と一生涯の保障を備える必要はない、と言い切るのはいかがなものでしょうか?
問題点は3つあります。
一つ目は、実際のコストです。
終身保険において30歳から60歳まで毎月保険料を支払って得る一生涯の保障と、60歳で一時金で支払って得る一生涯の保障では、同じ保障額で比較した場合は前者の方が支払総額を安く抑えることが可能です。
もともと生命保険の数理は、加入年齢が基準になるので、60歳より30歳の方が有利であることに加えて、終身保険の商品として<低解約返戻型>というものがあり、一時払いものにはない仕掛けもあるのです。
※<低解約返戻型>:支払期間中の解約返戻金を従来の7割程度に抑え、その分保険料も割引されるタイプ
そもそも「終身保険の保険料は高い」と言っても、積み立てられる部分があるので、それを差し引いた差額を実質的なコストと考えれば単純に高いとは言えないと思います。
二つ目は健康状態についてです。
30歳では終身保険に加入できたとしても、60歳になって加入できるとは限りません。
当たり前のことですが、30歳で健康状態が完璧な人でも60歳ぐらいにならば何がしか問題が出てきても不思議ではありません。
健康状態により終身保険に加入できないか、できても「保険料割増」になることもありえます。
最後三つ目ですが「終身保険を買うためだけに貯蓄ができるか」です。
たまたま60歳の時点で退職金などがあり、そのキャッシュで終身保険を買えればいいですが、そうなるとは限りませんよね。
また「終身保険を買うためだけに貯蓄」なんて、かなりストイックな方でないと無理です。
保険は少々面倒くさい手続きをしないと解約返戻金(つまり現金)を得ることができないので、それが抑止力となりお金が貯まるしくみになりますが、単純に預貯金だとそうはいきません。
「終身保険は(掛捨ての定期保険に比べて)保険料が高いので、大きな保障が必要な若い時期には不要で、子育てなどが終わる時期にそれまで貯めたお金で<一時払い終身保険>に加入すべきである」ということは、長年に渡り金銭面でも健康面でも超ストイックに過ごす前提で、割引の余地がない不利な商品を勧めていることになります。
若い世代に、お金を貯めて高齢になってから一時払い終身保険の加入を勧めるのは、「浪費」や「経年劣化」という本質的な人間の弱みを無視した暴論であると思いますがいかがでしょうか。
若いうちから、月々数千円の保険料で数百万の終身保険に加入することは無駄にはなりません。
他にもいろいろ書いています。
ご興味があればお立ち寄り下さい。
保険選びネット
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7586.htm
<具体的な商品の比較など月一で書いています(ほぼ月末更新)>
終身介護保険の新商品と旧商品を比較しています。
ヤフー知恵袋
http://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/shigotonin38
<知恵ノートはほぼ月二で随時更新、生保関連の質問にも答えています>
ご指名の質問大歓迎です。