生命保険は「分かりづらい」のではなく「分かりづらくされている」①
耳にタコができ、口が酸っぱくなるのを通り越してしょっぱくなるほど「生命保険は分かりづらい」と言われ続けています。
売る側もよく分かっていないことが珍しくありません。
完全なるニーズ商品であること、目に見えないこと、それぞれの考え方により解釈の違いが大きいことなど理由となることは色々挙げられますが、果たして本当に分かりづらい、難しいものなのでしょうか?
ここで敢えて断言します。
"実用的な生命保険商品の構造は超カンタン"であります。
多少難しいと感じられるのは保障額や保障期間の設定になると思いますが、そこも「必要最低限でいい」と割り切れば難しくありません。
「生命保険で損をしたくない」「生命保険で儲けよう」などとヨコシマなことを考え始めると、余計に分かりづらくなり、ドツボに嵌ってしまいます。
まずは、"生命保険は金銭的には絶対に損をする"と認識しましょう。
損をしないケースは、大きな定期保険(掛け捨てタイプですね)に加入して、その保障期間内で若くして亡くなった場合です。(こんなときのために、掛け捨てタイプの保障があるのですが)
でも、こんなケースで「得をした」なんて思うことなんてほぼないでしょう。
「助かった」と思う方はいると思いますが。
例外と思われるのは、毎月数十万円の保険料を負担して、数千万円の終身保険(掛け捨てでない貯蓄タイプですね)に加入できる方です。
年齢と支払期間によりますが、概ね20年前後継続すれば解約返戻金が元本をクリアしますので、金銭的に損をする可能性は低くなります。
しかし、性別、年齢が同条件で定期保険で3千万円加入している方と、終身保険で3千万円加入している方が10年以内の短期間で両方とも同じタイミングで亡くなった場合は、定期保険に加入している方の方が金銭的な負担は少なかったことになります。
支払った保険料が、貯蓄タイプの終身保険の方が10倍近く多くなるからです。
ともあれ、私たち一般生活者においては、毎月数十万円の保険料の負担をして数千万円の終身保険に加入することは不可能ですので、扶養家族があり遺族に対する保障額が数千万になってしまう場合は、保険料負担が軽い掛け捨ての定期保険を利用するしかないのです。
つまりほとんど場合、金銭的に損をする可能性が極めて高い選択をすることになります。
まぁ、ここまではそれほど「分かりづらい」話ではないですね。
金銭的に損をすることを受け入れれば、あとはどれだけ合理的に少ない負担で無駄のない保障を手に入れればいいだけです。
一般化してお話すると、お子様がいる場合の必要保障額は"末子(一番下のお子さん)が生まれた瞬間を頂点
として、そのお子様が独り立ちする(20~24歳ぐらい)地点をゼロとする右肩下がりの直線"が最低限の遺族の生活保障となります。
(お子様の教育費、奥様の老後の生活費や本人の死後の整理資金などは別途算出)
この考え方は、ほぼ100%扶養家族がいる世帯主に当てはまり、「頂点」から「ゼロ地点」を結ぶ必要保障額をほぼピッタリとカバーする「収入保障タイプ」あるいは「低減定期タイプ」がデフォルトです。
生命保険相談の初見でこの理屈を知ることができれば、死亡保障についての「分かりづらい」要素のほとんどが消えます。
はじめからこのような理屈を聞けば、ほとんどの方がご理解いただき無駄のない死亡保障を利用できると思いますが、わざと分かりづらくした生命保険を開発、販売している輩がたくさん存在します。
また極めて残念なことに、この「わざと分かりづらくした生命保険」には多くの方が加入してしまっているのです。
以下次号、詳しくお話ししていきます。