生命保険における通信販売のデメリット
以前からDM(ダイレクトメール)やパンフレット、電話による生命保険の通信販売行われていましたが、ここ数年はインターネットの普及によりネット専業の生命保険が登場して、生命保険における通信販売のシェアは大きくなっています。
一般的には「通販は安い」ということになっておりますが、生命保険については必ずしもそうではありません。
異様に保険料が高い大手国内生保に比べれば間違いなく安いのですが、まともなものと比べると一部を除いては価格的な優位性があるとは言い切れません。
生保の通販においては「営業職員の人件費がかからないので保険料は安く抑えられている」と謳っていることが多いのですが、この辺が通販のデメリットに繋がっていることを今回お話しします。
「営業職員の人件費がかからない」ということは、無駄な営業はしないとともに、申し込んだ際のフォローをフェイス・トゥ・フェイスでしない、つまり端折るということです。
無駄な営業や我田引水のコンプラ違反スレスレのセールストークがないのはメリットですが、加入時の告知のフォローがほとんどなされないのが問題です。
まず非喫煙者の方については、通販においては割引がないのがほとんどです。
なぜかと言うと、非喫煙の割引の適用を受ける場合は「検査キット」を使って唾液などを調べる必要があり、少なくとも本人が検査を受けることが確認されなければなりません。
通販であれば人が介在しないので身代わり検査が可能になってしまいますよね。
それと、ここで一番指摘しておきたいのが、健康状態に少々不安がある場合です。
基本的に通信販売において、同封する「告知書」に1つでも何かあった場合はNGだと思ってください。
「現在、投薬を含む治療を受けていますか→はい」のようなケースです。
一部の心ある保険会社においては、投薬の理由、薬の種類、いつから処方されているのか、など担当者がヒヤリングして個別に診査をして、場合によっては無条件で加入できるケースがありえます。また、無条件でなくとも、一部不担保や少々の保険料割増や保障の削減で加入できることもあります。
熱心な担当者がいれば「A社がだめならB社でやってみましょう」と骨惜しみせず動いてくれますが、通販は「ダメでした・・さようなら」で終わりです。
このグログを読んでいただいている方は大丈夫であると思いますが、一般的には通販でNGを喰らったら、「他もダメだろう」と諦めてしまって「オレはもう生命保険に入れない」と思い込んでしまうケースが発生します。
まぁ、このような問題は通販に限らず、普通の一社専属の営業担当者にも言えることで、自社でNGが出たところで「C社かD社ならもしかしていけるかもしれません」などと勧めることは、まずあり得ませんし、それ以前に他社のメリットについては信じられないほど無知だったりします。
それでも人が介在することにより、お客様が「何とかならないの」と泣きつけば禁断の他社紹介の可能性はゼロではありませんが、通販ではゼロです。
実際の事例では、「通販で断られたから"誰でもは入れる"というのを探している」と相談に来られた年配ご夫婦がいらっしゃいました。
詳細を伺うとお二人とも「血圧降下剤を飲んでいる」とのこと。
それならば○○生命なら無条件で加入できるかもしれない、と判断して薬の名前、いつから、どのぐらい処方されているのか細かくお伺いして、終身保険と医療保険を申し込みました。
結果は見事に「無条件」で保険に加入できました。
ご夫婦揃って、でしたのかなり喜んでいただけました。
たまたま○○生命を扱っている所に相談に来られたのでよかったのですが、そうでなければ保険料負担が倍以上で、血圧が原因での病気や死亡は保障されない"誰でもは入れる"保険に加入していたか、断念していたかもしれません。
生命保険は面倒くさい、営業がウザい、などの理由で安易に通販を利用するのは、場合によってはリスクがあると思って下さい。
"健康に自信がありで煙草を吸う方"なら通販はお勧めかと思いましたが、「健康体割引」がないので、やっぱり生命保険の通販はお勧めできません。
命や健康、そしてお金に関わり、おまけに目に見えない高額商品を、ゲームソフトやルームランナーや寄せ鍋セットと同じように通信販売で買うのはやっぱりおかしいですよ。