生命保険においての「見直し」の意味【その2】
前回、生命保険の加入の鉄則は「状況が変わらなければ見直しは不要」でなければなりません、というところで終わりました。
では、具体的にどうすればいいのか。
以前書いてきたことの繰り返しになりますが、お子様の成長とか、年を取れば病気になりやすとか、人は必ず死んでお葬式をするとか、当たり前のことを念頭に入れて生命保険を組み立てて加入すればいいだけです。
入院の保険について考えてみますと、現在現役でバリバリに働いている30~50歳代において、入院する確率はそう高くありません。
しかし、万一入院してしまうと様々な経費がかかる上、収入が減る可能性があります。
我国の皆保険制度や勤め人であれば勤務先の福利厚生でカバーできる部分はありますが、フリーランスの方であったり、勤め人でも入院が長引いたりした場合には心強い備えとなりえます。
現役時代の保障だけ考えれば、共済などを含む歳満了型、つまり60歳や65歳で完了する「定期タイプ」の活用でいいのですが、実際に入院の確率がドーンと上がるのは70歳を過ぎたあたりからです。
「60歳を過ぎるころには資産運用で3千万円以上の試算ができるし、親の遺産で最低2千万円は入るから老後の入院保険などオレには必要ない」という素敵な方は心配いりませんが、通常は多少の蓄えがあったとしても今後どうなるか不透明ですし、将来の医療費の負担は間違いなく増えそうなので、なんらかの医療費に対する備えは必要ではないかと考えます。
そこでお勧めしたいのは単品の終身型の医療保険です。
現役時代の入院に備えることもできますし、将来の老後にも役立つ可能性があります。
保険料の負担についても、終身払いであれば1日1万円の保障で数千円ですので、年金生活でも何とか維持できそうです。
また、将来資産運用が上手く行ったり、相続財産が入って来たりして余裕ができれば、さっさと解約すればいいのです。
この「さっさと解約」できることが重要です。
終身医療保険に加入すれば、一生涯入院保障を受ける権利が買えるわけで、解約するしないはこちらの勝手となります。
つまり、こちら側、消費者側がイニシアティブを持っているかたちになりますので、続けるか、やめるか、場合によっては減額するかの「見直し」は自由自在です。
翻って、伝統的国内生保の主力である「定期つき終身保険」の更新型の医療特約については、10年や15年の更新ごとに保険料が上がりますので「このまま続けると保険料がこれだけ上がりますけどどうしますか」とその都度見直ししなければならない状況になり、60歳か65歳の時点で「入院保険はこれで終わりですが、続けたいなら80歳までの保険料を○百万円先払って下さいね」と迫られます。
これでは完全に保険会社のペースですよね。
おまけに、終身タイプの単品の医療保険と、更新型の特約の医療保険における現役時代から80歳までの保険料支払総額は後者の方が概ね2割~3割前後高くなります。
その上、終身タイプは80歳以降も継続可能ですが、特約更新型は泣いても笑っても80歳で終了です。
さらに、特約の医療保険であれば死亡保障ありきが大前提ですので、死亡保障をなくして医療保険だけ残すことは不可能ですし、死亡保障額の設定により内容に制限があります。
死亡保障を最低限に設定すると、特約である医療保険が付加できないか保障額を下げなければならないケースが想定されるのです。
高いし、分かりづらいし、制限はあるし、肝心なときに使えないし、で何もいいことはありません。
恐ろしいことに、と言うか不思議なことに、現在進行形で伝統的国内生保は、この「特約更新型」を主力商品としてたくさん販売しています。
(もちろん過去においても膨大な数を販売しており継続されています)
結論としては、保険会社、保険商品の都合で「見直し」ができると謳うもの(実際には「見直しを余儀なくされるもの)は、消費者にとって厳しいものであるということです。
始めから「見直し」が想定されている「更新型」は避けて通りましょう。
期間限定の保障を考えるなら「全期型」または「歳満了(○歳まで、と更新なしで完結するもの)」、一生涯あるいは老後の備えとなるものは「終身型」で備えるのが賢明なやり方です。
また、死亡保障と医療保障は目的が異なるわけですから、将来不測の事態に「見直し」がしやすいように、別々に加入するのが基本です。
一度、ご自分の生命保険証券を点検して下さい。
高いし、分かりづらいし、制限はあるし、肝心なときに使えないし・・・になっていませんか?