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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

がん保険はあくまでオプション2

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少々がん保険の最近の新商品の傾向に触れますと、がん保険のツートップのアフラックと
東京海上日動あんしん生命が数か月前に出したものがほぼ同じコンセプトでした。
と言いますか、あんしん生命が打ち出したコンセプトにアフラックが「第一人者」の意地
で追随して、まだ1年しか経っていないそれまでの商品を捨てて後追いしました。

そのコンセプトとは「診断給付金、入院給付金以外の治療支援の充実」です。
具体的には、放射線(!)治療や抗がん剤治療についての給付金や、収入保障的な給付金の設定です。

入院をしない治療、つまり通院による治療でも給付金がたんまりもらえる設計となってお
り、入院日数の短期化に対応しているようです。

ただ、保障内容が"充実し過ぎている"ため保険料はそれなりに高くなっています。
同じ年齢で加入した場合、通常の医療(入院)保険の保険料と同じ程度か高くなってしま
っています。

詳細を確認したい方はこちらをどうぞ
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7496.htm

「がん保険には加入せず、お客様にも勧めたことがない」立場からすると、正直過剰だな
と感じてしまいます。
前回「日本人の二人に一人ががんの罹る」とお話ししましたが、逆に言うと「二人に一人
はがんに罹らない」ことになります。

また、これまで「がんの治療には高額な費用がかかる」と思われていたように思いますが、
これはよく考えるとがんに限ったことではありません。
がんに限らず、保険適用でないもの(先進医療など)は自由診療で実費がかかり、保険適
用である治療であれば高額医療制度で、どんなに治療費がかかっても上限(月額8万円程度)が適用されます。

最新のがん保険には、「先進医療特約」が80円ぐらいで付けられて保険適用外の高額になりうる自由診療の支払いに備えることができますが、がん以外の先進医療には全く役に
立ちません。

最近の通常の医療(入院)保険は「先進医療特約」を110円ぐらいで付けられて、もちろん
がんも含めた先進医療に使えます。(付加でいないものもあります)

つまり、先進医療に備えるならば、30円をケチらないで通常の医療保険に付保する方が合理的ですね。

それでも「身内はみんながんで死んだ。だからどうしてもがん保険が欲しい」と仰る方に
ついては新商品には目もくれず、以下の内容でお勧めします。

1、診断給付金が入院日額の100倍(入院日額1万円で100万円)で複数回給付
2、上皮内がんでも診断給付金が満額給付される
3、終身タイプ

飽くまで、がん保険はオプションとして考えていますので、通常の医療保険を加入の上で
上記2点をクリアして、さらに保険料が安いものを推薦します。

放射線(!)だの抗がん剤だのいろいろな治療の負担について100万円もあれば備えられますし、入院日額も通常の金額に上乗せされる(通常の入院保険が日額1万円であればさらに1万円たされて2万円)ので、それで充分ではないでしょうか。

上記の条件を満たして、保険料が廉価なのはダークホースである日本興亜生命の「終身がん保険」です。
ただ、この商品の弱点は入院しなければ診断給付金が出ないところです。

しかし、この事実が分かっていれば、私なら「先生、一晩だけ泊めて」と交渉します。
やったことがないので分かりませんが(そもそもがん保険に加入していない)、入院不要の
ケースであれば経済的な負担は微々たるもんですので、交渉が不調に終わっても体制に影響ないと思います。

がん保険は飽くまでオプションとして、必要であれば一番経済効率がいいと思われるものを活用するのがベストと考えます。

震災による放射性物質漏えいで、日本人の将来における発がん率はアップするという懸念があるかもしれませんので、保険数理に影響(放射性物質により発がん率が右肩上がりで上がりはじめる)がないうちに、がん保険を検討するのもありかもしれません。


 

仮に日本人の発がん率が大幅に上がってきてしまったら、保険料のアップやこれまでと違った加入の制限が出てくるかもしれません。
こんな仮説は当たらないで欲しい・・。
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