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日本のIT起業家に救世主登場。mixiアプリにベンチャーが殺到する理由

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今,mixiアプリ(アプリケーション。以下アプリと略)が熱い。
しばらく低迷感のあったMixiだが,久々に明るい材料だ。

■ 「mixi始まって以来、最大の変化」 ―― 笠原社長に聞く「mixiアプリ」 (ITmedia 2009/4/23)

説明会やカンファレンスにはIT企業が押し寄せ,すぐに満席になってしまう。4月8日の仕様公開直後から多数のインディーズアプリ(オープンβ版)がアップされ,4月25日現在で既に300件を超えている。

このようにmixiアプリに注目が集まっているのは,米国Facebookが一気にMyspaceを抜き去った最大の成長ドライバーが「アプリAPI公開戦略」にあったからだ。

アプリ・デベロッパーは,開発したアプリを自由に登録することで,その日からFacebookという巨大なソーシャルプラットフォーム上で商売することができる。例えば,現在最大級のアプリ LivingSocialには約3000万人の月間ユニークユーザーがいる。Facebookユーザーは2億人なので,そのうち15%がLivingSocialを使用していることになる。

Facebookにとっては,多様なコンテンツが自己増殖することで自然にページビューが増えてゆく。一方,アプリ開発者にとっても,宣伝コストなしで自らのコンテンツを多くのユーザーにアピールでき,広告収入や会員料金を得ることができる非常にありがたい仕組みだ。

Facebookのインディー開発者、月額$700,000の広告収入を得る (TechCrunch Japan 2009/3/9)

公開されてはいないが,個人に近いインディーズのスタートアップ企業で月7000万円を稼ぐところがあらわれたらしい。また,ZyngaRockYou!Playfishなど著名デベロッパーは,OpenSocialやiPhoneにもそのテリトリーを広げ,驚異的なペースで売上を伸ばしている。中でもトップと目されるZynga社は,TexasPoker等複数のアプリにより年40-50億円の売上を達成,そのうち半分がFacebookアプリからの収益と言われている。

これがMixiアプリが加熱する背景である。

Facebookのアプリケーションやデベロッパーのランキングは,ALLFacebookというサイトで確認できる。

Facebookapplicationstatis

ALLFacebook -- Application / Developper ランキング

今,世界では,巨大なソーシャル・プラットフォームと,その上で稼動するアプリケーション群という2つの階層ができつつある。中でも巨大なアプリ・プラットフォームとして注目されているのが,Facebook(約50000アプリ),iPhone/iPod(約10000アプリ),Myspace(約5000アプリ)だ。さらに今後はAndroidがこれに続くだろう。

この構造はゲーム業界に酷似している。Sony, Nintendo, Microsoftというプラットフォーム,その上のゲームソフトメーカーの熾烈な争いだ。ただし,(1)OpenSocialとFacebook Platformという2大スタンダードがあり,他のSNSや端末もプラットフォームになれる点 (2)ゲームソフトと異なり,個人プログラマでも容易に参入できる点 が大きく異なる。今までにない,徹底したオープンで競争志向の市場が現れたのだ。

またこのアプリ増殖に伴い,その収益基盤を支える成果報酬型広告サービス(Social Media / Offerpal Media / Appssavvy / ShopIt等)や,マイクロペイメントと呼ばれる小額決済サービス(Spare Change / SocialGold / Zong)も急速に取扱高を伸ばしている。

mixiの場合はこの広告や決済サービスを自前で提供する(外部サービスも受け入れる方針のようだ)ところが異なる点だ。またGREEやモバゲーは,アプリ・広告サービス・決済サービスをすべて自前で揃えることで高収益化を図っている(詳しくはこちらを参照ください)と言える。しかしながら,ソーシャル・プラットフォームが急速にオープン化しはじめた今,クローズ戦略をとるサービスは長期的には縮小均衡路線をたどる運命にあるだろう。

明日から数回にわたって,このホットなソーシャル・アプリについて,その成功のエッセンスを探っていきたい。

私見だが,このmixiアプリは閉塞感ただよう日本のITベンチャーの救世主となると思う。これを機に,井の中の蛙状態となっていた日本のIT業界が,オープンでソーシャルな世界市場に向かう新しい時代が到来すると確信している。

そしてその主役となるのは,これから社会人になるデジタルネイティブと呼ばれる新世代だ。

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