SEOとしてオンライン広告を使うことは許されるのか?
@ITもITmediaも、Webサイト上にオンライン広告を表示することで多くの収入を得ていますが、この広告をSEOとして使うことは許されるのか? という話題が8月にオライリーのブログで話題になっていることを知りました。
これを知ったのは、先日トラックバックを頂いたRaru-Blogのエントリ「Jeremy Zawodny の隠しリンク」から。
個人的にもSEOと広告の関係は以前から気になっていたテーマです。つまり、お金を払ってページランクの高いサイトに広告を出して自サイトにリンクしてもらった場合、自サイトの検索エンジン(Googleとか)のページランクが上がることはありえます。とはいえそれはリンク元サイトがリンク先に「言及」や「参照」をしたわけではなく、単に「広告」が出ているだけです。情報の重要度を示すページランクがそれによって操作されることは望ましいことなのでしょうか?
検索エンジンで情報を探したい人からみれば、普通は「広告をたくさん出しているサイト」よりも、「多くのサイトから信頼されているサイト」が上位に出てほしいはずです。
こういうことが、実際にオライリーで問題になっていたことを初めて知りました。オライリーの「Search Engine Spam?」というエントリによると、次のような状況だったようです。
・www.oreillynet.comやxml.comといったページの一部に、テキスト広告が貼ってある
・広告のいくつかは、オライリーを読む技術者向けというより、単にページランクの高いサイトからのリンクのための広告(リゾートホテルとかキューバ葉巻とか)
読者からこの広告を「サーチエンジンに対する(リンク先サイトのランキングを不当に挙げようとする)スパムじゃないのか?」と指摘された模様。
で、ティム・オライリーはこれが社内の正規の手続きを踏んだ広告であることを確認したうえで「インプレッションと同じように、ページランクで儲けるというのは正しいのだろうか?」「SEOとSEOまがいの(ランクを上げるための)ゲームとの境界線はどこにあるのだろう?」といった問いを発しています。
明確な答えはありません。ティム・オライリー自身も悩んでいるようですし。
「長期的には、サーチエンジンのゲームをするようなことは良くないことだと信じている。(略)けれどそれがすぐに、今回のケースのような広告を完全にシャットアウトするべきだ、というほどの自信はない」
ページランクで儲けることを明確に肯定はしていないし、かといって広告とスパムリンクの明確な線引きもできない、といった悩みですね。
このエントリのコメント欄には多くの人から膨大なコメントが書き込まれています。広告のリンクは、検索エンジンの対象にならないように「rel=nofollow」にすべきという意見、「広告とはそういうもの」という意見、中にはGoogleのエンジニアから「この件についてぜひ話し合いたい」といったコメントもあります(さすが米国、というべきでしょうか)。「広告であるというタグを付ければいいのでは?」というコメントもあります。
私も何らかの方法で検索エンジンに「これは広告」ということを伝える手段があれば解決できるのではないか、と思います。
例えば、人間はどれがオンライン広告でどれがそれ以外のコンテンツなのか、だいたい認識できます。バナーなら「広告だな」と思うし、テキストならだいたい広告を示すマークがその付近にあるからです(何らかの意図で広告であることを隠した広告は、ここでは除きます)。それによって意図を読み取り、そのリンクを「クリックしようかどうしようか」を判断できます。
検索エンジンも進化することで同じような認識を持てるようになるかもしれませんし、あるいはコメントにもあったように「rel=nofollow」といった属性を設けてもいいかもしれません。あるいはタグのようななんらかの広告判別方法を検索エンジン側が提案してくる、といったことが起こるかもしれません。
いずれにせよ、そのリンクがページ本文で言及されているからなのか、それとも広告からなのか。あるいはトラックバックなのか、コメントからのリンクなのか。文脈からリンクの特性や重要性を読み取り、判断する。検索エンジンがこれを判断できれば、いちばんフェアなやり方のような気がしますし。もちろんそんな簡単なことはもう誰かが考えて、実装を始めているのかもしれません。
※このブログに書いていることは全部個人の意見なのですが、今回は特にそのことを明記しておきます。念のため。