起業して社長になるタイミングはいつ?
楽天の三木谷さん(48)さんが32歳で、ソフトバンクの孫さん(56)は24歳。ファーストリテーリングの柳井さん(65)が35歳で、京セラ創業者の稲盛さん(82)は27歳。各世代で名社長と言われる方々が起業や事業承継された年齢だ。皆、人生における青年期までには経営者としてのスタートを切っている。
また、現最年少東証1部上場社長であるリブセンスの村上さん(27)は19歳、同じく前最年少東証1部上場社長であるエス・エム・エスの諸藤さん(36)は25歳で起業。当然ながら20~30代社長の起業は若い。10代や20代半ばまでに起業するということは、一般的にビジネス経験さえ浅い年齢といってもよい。
さて、当社にはプロフェッショナルスキルを持つ方々が日々、転職相談に訪れるが、将来独立したいという方も非常に多く、実際に当社を介して転職した方が数年後に起業したとのご連絡をいただくことも少なくない。独立と転職は似て非なるものだが、独立を志す人材がなぜ?当社に転職相談に来るかというと、転職先で得られる顧客や人脈、ノウハウを吸収した後に起業した方が近道だと考えている人が多いからだ。それが2~3年の場合もあれば、10~20年のスパンで考えている場合もあり、中には定年後に...という夢を持つ人だっている。
「あれっ?上記の名経営者達は20~30代で起業しているので、20年後や定年後などと悠長なこと言ってては遅いのでは?」と思われるかもしれないが、実際はそうではない。広く日本の創業者達を見てみると、30代までよりも40代以降で起業した社長の方が多く、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2001年以降に起業した社長へ行ったアンケートでは、30代以下での起業は35%程度と40代以降の約65%よりも少ないのが分かる。
若くして独立することの利点は、家庭や家のローンなどを顧みなくてよい、失敗してもキャリアのやり直しがきく、気力体力が充実した時期であるなどがあげられる。そして、事業が成功すれば長い年月を経営者として走り続けることができることも若くして起業するメリットだろう。先ほど紹介した経営者達は、若いうちから事業プランと志があって、それを推し進める才覚があった方々ということである。
一方で、後年に独立した際に得られる資金力、培われた経験や人脈など時間経過と共に増える力は不足する。その分、起業後の失敗リスクは大きくなると言っても良い。そういう理由で、逆に長年ビジネスに携わった経験や人脈を活かし後年に起業を志し、成功していく起業家も多いわけである。直近ではライフネット生命の出口(66)さんが堅調な例だろう。起業した年齢は実に58歳であった。長年の生保業界の経験と岩瀬副社長(創業時)という最良のパートナーを人脈で得て、低額なシンプル設計の商品プランで生保業界に旋風を巻き起こした。つまり、50代や60代だって夢や成功を手に入れるには遅くはないということである。
転職は50代にもなると求人数が激減するが、起業の機会はそうではない。志や事業プランがあれば人生はいくつからでもスタートできるということだ。( (株)プロフェッショナルバンク 福良 英基)