オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

岩下朋世『キャラがリアルになるとき』(青土社)

»
岩下朋世『キャラがリアルになるとき 2次元、2.5次元、そのさきのキャラクター論』(青土社)。正直にいうが、この本で触れられているマンガの90%を僕は知らない。まして2.5次元舞台やラップに関しては、何のことやらアカチパラチである。にもかかわらずキャラクター論という枠組みは、少なくともリクツ的にはついていける。岩下さんの前著含め、一応マンガ研究でそこらを撫でてきているからだ。その限りでだが大変勉強になった。というか、さっそく最後の学習院講義に活かそうとほくそえんでいたりする。『島耕作』、岩明均(このへんは知ってる)、グルメマンガ、『仮面ライダー』、『テニプリ』、『弱虫ペダル』などを扱い、マンガ原作の実写化について考え、ラッパーをキャラクター論的に論じ、個々の造形や作品内に属するキャラクターから離れて存在してゆく「キャラクター」のありようを問う。最後に「「マンガ論の現在」のこれまでとこれから」として、ブックガイドがついていて、これも大変重宝。今の学生さんや若い人たちにはいい入門書かもしれないな。
写真の説明はありません。
Comment(0)