オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

文脈の違い 英国出張の感想

»

今回の英国出張を通じて感じたのは、日本で大英博の漫画展の枠組みや、前近代(近世)の表現と近代以降現在に至る日本マンガを結び付けようとする傾向についての理解の距離感の違いについてです。欧米で観客(とりわけある程度知的な)をマンガという現象に興味を持たせるためには、美術史的な前提知識との関連で理解してもらう必要性もあったと感じられました。大英博内部でのプレッシャーもあったらしいと聞きました。これは、日本の研究領域において先端で変化しつつあるマンガ史理解の知的枠組みの変化に比較したとき、英国というコミック文化がまだ広範な理解を得ていない知的環境との、文脈の違いとして理解すべきかと思います。つまり、彼我の知的文脈の違いをまず認識し、少し次元、距離感を変えて、互いの理解と議論のレベルを設定しなおす必要がある、ということではないでしょうか。異文化間の議論のためには、まず日本の文脈、近代と前近代の問題があって、そこを切り分ける必要を感じていることを説明し、欧米での文脈との違いを見出し、そのうえで共通項を抽象化して交換する必要があるということですかね。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する