【書評】『Facebookを集客に使う本』:集めずに集まる
数日前から、日本でもFacebookチェックインクーポンが開始し、いよいよFacebookの集客装置としての役割に注目が集まってきている。そんな中発売されたのが、本書『Facebookを集客に使う本』である。著者は『Facebookをビジネスに使う本』でおなじみの熊坂仁美氏。Facebookを活用してどのように人を集めるか、その一点に特化した一冊である。
◆本書の目次
Part1 フェイスブックとは何か?
Part2 ソーシャルメディアを使った最先端の集客事例
Part3 「いいね!」を押したくなるコンテンツを作る
Part4 コンテンツのアイデアの出し方・見せ方
Part5 ファンをどう集めればいいか
Part6 ソーシャルメディアキングの次なるアイデア
Part7 メディア連携で集客効果を倍増させる
Part8 新しい集客ツール「クーポン」の可能性
本書で紹介されているデータの中に、興味深いものがあった。「ブログを持っている会社は、持っていない会社より79%もツイッターのフォロワーが多い」というものである。このデータが示す意味あいは、逆説的でもあるが非常に重い。著者の言葉を借りれば、「フェイスブックがブームだが、フェイスブックにばかり力を入れても効果的な集客に結びつかない」ということなのである。
そのような視点から書かれている本書の白眉は、「いいね!」をされてやすくなる特徴をまとめた「いいね!ゾーン」なるものと、「コンテンツ作りのヒント」が書かれているPart4にある。すわなち、継続型のコンテンツをどのように作成するのかということである。具体的には以下のようなもの。
◆「いいね!ゾーン」とは?
・納得できる意見
・勉強になる視点
・意外な発見
・面白い話
・かわいい写真や動画
・ためになる情報
・自分に関係がある情報、参加できるもの
・いち早い情報
◆コンテンツ作りのヒント
・ハウツーものはコンテンツの王道
・専門家としての意見は喜ばれる
・写真や動画で商品を語る
・あえてバックヤードを見せてページを活性化
・形のない商品は購入者のインタビューで見せる
・質問に対する答えは最高の問題解決コンテンツ
こうして見ると、まるでブログ術について書かれた内容のようにも思える。しかし、これは自分にとって集客と密接に結びつくものが「ブログへのアクセス」であることによるものであり、集客の力点を別のポイントに置いている人にとっては、各々のビジネスに直結するような内容と感じるであろう。大切なのは、売らずに売るコンテンツ戦略という視点なのである。
そういった意味で、本書はFacebookの本であり、Facebookの本ではない。それがTwitterであろうが、mixiであろうが、ハブとなるコンテンツに魅力がなければ、ビジネスには結びつかない。そして何より大切なのが、細くとも長く継続するということに尽きるのだ。
Facebookにおいては、とにかくFacebookページを立ち上げるというフェーズから、効果を求められるフェーズへと移り変わっている。そんな新たなフェーズを迎えるにあたり、実に気付きの多い一冊であった。
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