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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

たんなるデータ連係だけのハイブリッドクラウドは時代遅れになる

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 今週は、急遽IBMのイベント「Pulse 2014」を取材するために、米国ラスベガスに行っていた。これで2度目のラスベガス、2度目のIBM海外カンファレンス・イベントの取材。ラスベガスはちょっと往復に時間がかかるしそれなりに大変。けれどもやっぱり、行けば直接受け取るメッセージに強く影響を受ける。

 これまでのPulseは、Tivoliなどのシステム管理製品などをおもに取り上げるものだったが、今回からはIBMの戦略シフトに合わせて大きく「クラウド」がテーマとなったイベントに。もっとも脚光を浴びていたのは買収したSoftLayer。IBMはいま、自社のあらゆる製品やサービスを、このSoftLayerをプラットフォームにして提供するように大きくクラウドにシフト中だ。

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 とはいえ、IBMはすべてをクラウドにもっていくわけではなく、ハイブリッドクラウドを提唱する。この場合のハイブリッドは、たんにオンプレミスとオフプレミスの両方があるだけのものではない。


 IBMが進めるハイブリッドは、オンプレミスもオフプレミスも1つのシステムのように扱うものだ。両方のリソースをオーケストレーションして最適化する。その際に、リソースを中心に考えるのではなく、上に載っているアプリケーションのワークロードを元に最適化するというのが特長だ。進めると言っている。従来までのハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとオンプレミスの2つがあり、せいぜい両者はデータ連係するくらいの関係だった。

 IBMの言うところのハイブリッドを実現するには、クラウドをオープン化することが必要。この場合、たんにオープンスタンダードの口をもっているだけでなく、ハイブリッドクラウドの環境自体がオープンアーキテクチャになっている必要がある。そのためには、IBMだけでオープンだと言っていても始まらない。と言うことで、Cloud Foundry Foundationという標準化のための財団組織まで設立した。

 IBMが主張するように、たんにオンプレミスとオフプレミスの両方があるだけでハイブリッドというのはいまいちだろう。やはり、両方が協調して、アプリケーションからは1つに見えるようなインフラになっている必要があると思う。それができるのは、IBM、Microsoft、Oracleくらいか。AmazonやGoogleは、オフプレミスだけなので、ハイブリッドは無理だ。Oracleは要素として完備しているけれど、まだちょっと出遅れている感がある。MicrosoftはオープンというところでちょっとIBMとは違う道を歩みそう。

Pulse

 IBMのハイブリッドクラウドが市場で受け入れられるかはまだ未知数。さらに、企業の状況によっては、すべてクラウドのほうが効率的なところもあれば、Microsoft色に染めたほうが心地良いところもあるだろう。必ずしもハイブリッドがすべての答えではない。とはいえ、たんにデータ連係だけのハイブリッドは、今後はちょっと時代遅れになるのだろうなぁとは思った次第。

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