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利益相反は難しい

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 先日、日本オラクルの新しい戦略の話を受け、SaaS市場についてブログを書いた。そのときに登場した、SaaSの新たなプレイヤーであるネットスイートが米国でIPOするらしい。

 ITmediaの記事では触れられていないが、ネットスイートがIPOするにあたり問題が発生する可能性があるとの報道をいくつか読んだ。ネットスイートのおもな株主はオラクルのCEOであるラリー・エリソン氏だ。IPOするにあたり、ネットスイートとオラクルが競合関係にあり、両社の経営に関与するラリー・エリソン氏の立場が利益相反になる可能性があるというのだ。

 つまりネットスイートが成長するために打つ施策は、オラクルの売上げ、利益を下げることになるかもしれないし、逆もしかり。ネットスイートとオラクルは当然ながら業務上の提携もおこなっているので、将来的に両社の関係がラリー・エリソン氏が両社の株主だというところから大きく変化する可能性もある。そうなったときには、この利益相反はもしかしたら意味をなくすのかもしれない。

 とはいえ、現時点ではこういう懸念が出ているということで、こんなこともSaaSの市場の戦略地図に影響するのかなと思ったりもする。日本ではまだまだネットスイートの知名度は高くないが、こういった背景も含め彼らがどういった国内ベンダーと組むのかといったことも、ちょっと気になるところだ。

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