【中華アンプ】 LM3886 Stereo Power Amplifier [50W+50W] + LC75342 Remote Volume Control
1年半ぶりにブログのエントリーを書いてみることにします。
書きたいことはあったのですが、仕事の進め方を大転換している中であまり余裕がありませんでした。
その他大切にしていたロードバイクを盗まれたこともやる気をなくした一員としてありました・・・
さて、記念すべき復活エントリーは、仕事やコンピュータ、ロードバイクのことではなく「オーディオアンプ」についてです。
それも高級アンプではなく、中国のガレージメーカーが作っている通称「中華アンプ・・・」
目次
- なぜ中華アンプなのか?
- LM3886 Stereo Power Amplifier [50W+50W]
- 届いてクオリティにびっくり
- 修理
- 何はともあれ音楽を聴く
なぜ中華アンプなのか?
電子工作の実験ではよく「LM386」というパワーアンプICを使っています。
LM386 は出力も小さいですし、音もそんなに良くないのですが、ほとんど外付け部品を使わないでスピーカーを鳴らすことができる便利なICです。
また、わざと歪ませて簡易ギターアンプも作れたり、電子工作にはとても便利なICです。
そんな LM386 について検索しているとき、同じような型番の LM3886 というICがあることを知りました。
LM3886 は LM386 とは違いハイエンド 指向の高級なICです。
Jef Rowland の model 10 という 100万円を超えるアンプに使われていたということで、結構有名なICとのことでした。
この LM3886 を使った中国ガレージメーカーのYS1というアンプが数年前に一世を風靡したようです。
それで私も欲しくなってしまって LM3886 搭載のガレージアンプを探すことにしたのでした。
LM3886 Stereo Power Amplifier [50W+50W]
YS1 なら音質に定評があり、ウェブ上で沢山の情報を得られますので無難ですが、
他にもいいものがあるかもしれないと探していたら、気になるブログのエントリーを見つけました。
のほほんとミニベロさん:中華アンプLM3886を購入してみた
ご覧になるとわかるとおり、なかなか高級感があってリモコンも付いている。
一目惚れしてしまったのですぐにでも買おうと思い立ったのですが・・・
このアンプは上記のブログでは [YJ-008] という型番で書いてありますが、
なかなか見つかりません。
ようやく見つけたネットショップでも今はもう売り切れてしまっているようでした。
しかも型番は [YJ-008] ではなく [LM3886 RCA3] となっています。
LM3886採用 高性能アンプ リモコン・入力RCA3ch(在庫処分特価)
もう手に入らないかもしれないとあきらめていたところ、ようやくわかりました。
このアンプは Yuan-Jing Audio という中国 広州市のガレージメーカーのものでした。
型番というものは存在しないらしく、
LM3886 Stereo Power Amplifier [50W+50W] + LC75342 Remote Volume Control という商品名でした。
私はこれを AliExpress で注文しました。
Lm3886 アルミ リモート アンプ 、 2.0 チャンネル アンプ 、 プリアンプ 、統合アンプ 、後ステージ アンプ
なんかおかしな感じですが、スペックなどを見る限り同じに見えます。
届いてクオリティにびっくり
6/23 日に FedEx で注文しました。
FedEx なら 3-6 day とのことだったのですが1ヶ月近くかかりました。
何故か EMS で届きましたし・・・(その EMS も 4-6 day とのことなのですが)
まず最初にやってしまったのは私でした。
中国の製品なので電源に AC 220V が必要です。
デジタルアンプ であればユニバーサル仕様のスイッチング電源であることが多いので100Vだろうが動きますが、
どうみても非安定化電源もしくはリニア安定化電源なのでダメです。
実は最初はそこに気がつかず AC 100V に挿してしまったのですよね。
そしたら液晶パネルは辛うじて映りましたが音は全く出ませんでした。
とりあえずアップダウントランスを買ってきました。
とりあえず音は出ました。
めでたしめでたし、とは話が終わりませんでした。
真っ先におかしかったのは、左右のチャンネルが逆だということ、そして右チャンネルからかなり大きなハムノイズが出ること。
何だか不安になってしまい、封印の様なものはありましたが思い切って空けてしまいました。
「えいっ」
実は Yuan-Jing Audio のサイトには同じ形で TDA7293 を使ったものがあります。
中身も違うかもしれないという不安もありました。
とりあえず分解してみたところ、LM3886 には違いないようです。
すぐに左右 逆なのはわかりました。
基板シルクは R なのに L の方に配線されています。
なんだか超怪しいですよね。
とりあえず気になった点を列挙してみました。
- 外見はラッピングされた状態で配達されたのでぴかぴかなのに、内部はほこりまみれの箇所があった。
- 立派なトロイダルトランス、外してみると底は錆びている。
- コンセントのアース端子がシャシーに落とされているが、そこはどことも導通していない。
これはきっとグランドの問題だと思い、ミノムシクリップで実験してみましたが、
ハムノイズは治まりませんでした。
ICが故障しているかもしれないと思って、次は左右でICを入れ替えてみることにしましたが、
ここでも驚きの連続でした。
まず、半田吸い取り機で暖めていただけなのに、プリント基板のランドが取れてしまいました。
これは私の腕の問題かもしれません。
次に外したICの足を見ると、リード線の切れ端が残っていました。
もしかして、ICは使い回し?
最後に、2個目を外したところ足が3本もげていました。
さすがにこれにはびっくりしました。
強く引っ張ったわけではないのに・・・
これは再起不能なので、秋葉原で LM3886 を買ってくることにしました。
修理
LM3886 を買ってきたのは良いのですが、取り付けの都合で足の曲げ方向が違います。
先ほど折れてしまったのはガレージの人が取り付け時にうまく足を曲げられなかったからでしょう。
結構びくびくしながら作業しましたが、新品のICであれば一度足を逆方向に曲げたくらいでは折れませんでした。
ついでに汚れているところの掃除などをして組み上げはじめましたが、ミスに気がつきます。
この製品の基板はシャシーのスリットに滑り込ませるように入っています。
そのスリットが2本あるのですが、本来とは違う方(3ミリくらいずれている)に入れてしまったので、
RCA の端子が若干シャシーの穴と干渉してキツキツになってしまいました。
やり直そうと思ったのですが、そのためにはまたLM3886を取り外さなくてはなりません。
こんどやると大事な基板のパターンまで引きはがしてしまいそうなので、これで我慢することにします。
基板にストレスがかかっていますが、きっと大丈夫でしょう。
とりあえず 試しに鳴らしてみましたが、やっぱりハムは聞こえます。
小さくはなりましたが・・・
これ以上改善するには、きちんと回路を追わないとわからないと思ったので、
とりあえず最後まで組み上げることにしました。
そして、動作試験をしたところ、見事にハムが消えていました。
わからないなりに理由を考えてみました。
たぶん基板の位置が数ミリずれたことにより、RCA のグランドがシャシーに若干接触するようになりました。
それでノイズが消えたの・・・かな・・・?
もともとシャシーグランドがない製品だったようですし。
何はともあれ音楽を聴く
原因が最後まで究明できていないのは気持ち悪いですが、
ハムノイズが全くなくなったので、設置して音楽を聴くことにします。
なかなかカッコいいじゃん。
音はよくわかりませんが、不満はないです。
今まで使っていたデジタルアンプよりトゲがない感じですが、私は音というものはその日の体調や気分でも受け止め方が変わるものだと思っているので、
不満がなければそれでいいやという感じです。
それより何故かテレビのようなリモコンで、しかも丸くて格好悪い訳ですが、
これがあるととても楽です。
いい音に感じる音量というのは、そのときの気分で結構かわります。
いちいちボリュームを回しに行かなくて良いのは素晴らしいですね。
何はともあれ、使えるようになってよかったです。
ぼろくそに書きましたが、試行錯誤しているときは楽しかったですよ。
純粋に良い音が出るアンプを安価に手に入れたい人にはお勧めできませんが、
いろいろいじって冒険したいという人にはお勧めできるアンプだと思います。
Yuan-Jing Audio のサイトではこれの基板だけでも売っているようなので、
修理や改造に失敗して壊してもやり直しもできそうですよ。
LM3886 Stereo Amplifier Board [50W+50W] + LC75342 Remote Volume Control