オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 >

計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

「ユーザエクスペリエンス(UX)」に関する講演2つとUXと開発プロセスの相性

»

ソフトウェアによってもたらされる「あぁよかった」「おぉ」とユーザに思わせるような楽しさ、快適さを感じる場面をUX、ユーザ体験、ユーザエクスペリエンスと呼んでいます。耳にされたことがある方も多いと思います。UXは魅力品質の一つといえます。

9月に開催されたソフトウェア品質シンポジウム2011のSRA先端技術研究所所長の中小路氏の基調講演「ソフトウェアにおける作るモノの世界と使うコトの世界」では、UXのためには開発に関わるメンバの間でUXのための絶妙な共通理解を維持し続けることの重要性やスケッチ、プロトタイプといった発想の展開や集約に必要な手法を紹介されていました。また、念入りな調整やUXを設計する立場、ソフトウェアを開発する立場の共同作業が必要であることを解説されていました。講演概要はこちら(ソフトウェア品質シンポジウムのサイトへ)。主に私のつぶやきですが、@kawaguti氏がまとめてくださったtogetterも参考になるかもしれません。

10月に開催されるScrum Gathering Tokyo(公式サイト)でもJeff Patton氏による特別講演「プロダクトマネジメント情熱教室 ~ アジャイルな要件定義で顧客の心を捉える(仮)」があります。同イベントのチケットは既に売り切れてしまったようです(10/3時点)。Scrum Gathering Tokyo実行委員の川口氏のブログエントリではPatton氏を「デザイナーとソフトウェア開発者、マーケティング担当が一緒になって迅速に製品開発を行う「アジャイルUX」の先駆者として世界的に有名です。」と紹介されています。

全てのソフトウェアに絶妙なUXが必須というわけではありませんが、今後特定分野の開発においては重要度を増していくでしょう。UXをウリにし、開発中にも洗練していくようなソフトウェアではイテレーティブなプロセスや先行検証等の試行錯誤を織り込んだ開発プロセスが必要です。アジャイル開発やイテレーション開発はUXを追求するようなソフトウェアとの親和性が高そうです。今後、アジャイル開発、イテレーション開発を選ぶときの判断基準の1つとしてUXがソフトウェアの価値を大きく高めるという基準が現れるのではないかと思っています。

Comment(0)