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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

TransferJetが目指しているアフォーダンスから学びたいこと

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ここでの「アフォーダンス」はモノ自体が備えている使われ方のわかりやすさを指す。「直感的」という表現が近いように思う。書籍「誰のためのデザイン?」でNorman氏が定義している。同書籍の冒頭で、一見押せそうにもみえ引けそうにもみえるドアノブ(押すとか引くとかは横に小さく書いてある)と、そう見えない(押せそうにしか見えない)ようなドアノブの話からアフォーダンスの解説が始まる。アフォーダンスとは、極端にいえば説明書いらずですぐに使えるようなモノの能力を指す。アフォーダンスが大きいということは、対象に関する知識がなくても一目でそうできることがわかり、さらに誤解を与えにくいことを指す。誤解を恐れず大胆に書いているので補足が必要だと感じているが、また別の機会としたい。

TransferJetという無線通信の規格は、ソニーのプレスリリースを読む限り、3センチ以内の至近距離で500Mbpsを超えるような通信が可能だそうだ。無線通信となるとすぐにセキュリティのことを考えなくてはいけなくなるが、3センチだとその心配も減るだろう。電子マネーとして使われている無線ICタグのように読み取り機に触れることで、有線のケーブルの差し込み口や接続ケーブル等を意識しなくてもよくなる。一見大したことのない技術にみえるが、安全に誰でも他者の力を借りずに機器の接続ができる意味は大きい。長距離で使えるようになると認証、暗号化等、心配事が増え実用性の面で問題となる。

10年、20年と継続して保守されるソフトウェアの設計や実装においてもTransferJetのような直感的、わかりやすくするための技術がもっと必要だと思っている。ソフトウェア開発においては、ユーザに対してアフォーダンスを提供することは比較的意識されているように思うが、作る側(同士)には十分な配慮ができているとは言い難いだろう。現状、作る側への配慮といえば、ドキュメント、クラスライブラリやフレームワーク、IDEやプロファイラ等の開発支援環境/支援ツールが挙がると思う。最近のこれらの進歩には目をみはるものがあり、それらを作っている方々やベンダの努力にはいつも刺激を受けるが、アフォーダンスという点から評価するならばまだまだ検討の余地があると思う。

開発プロセスの標準化や、デザインパターン等の共通技術の利用、開発方法論、CMMI, プラクティス、プロジェクト管理におけるPMBOK, BABOK等は共通理解を作るという意味で大きな役割を果たしているといえるが、これらがアフォーダンスを意識しているかというともっと踏み込めるように思う。

皆さんの身の回りで、ソフトウェア開発活動や(中間)成果物をアフォーダンスの観点で見直してみるとどこに改良や改善の余地があるだろうか。

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