日本人の成熟さが問われるとき
ISILイスラム国により後藤さんが殺害されました。
私も動画を見ましたが、残忍な方法で殺害されており、正視に耐えうるものではありません。
同じ日本人として、というよりも同じ人間として、とても悲しく思います。ご家族や後藤さんと親交があった方々の苦痛を思うと、やり切れない思いです。
一方で、このような時期こそ、私たち日本人の成熟さが問われているのではないかと思います。
朝日新聞DIGITALの記事によると、民主党の代表に就任された岡田さんが、このように発言されています。
---(以下、引用)---
中東地域への安定のため、我が国がしっかり貢献しなければならない。今回の(人質事件の)事案に関連して、イスラム教徒への偏見のようなものが生まれないことを強く希望したい。多くの平和を愛するイスラム教徒とは、今回の事案は無縁のものだ。...(以下、略)
---(以上、引用)---
これはとても大切なご提言だと思います。
イスラム過激派が台頭した一つの要因が、貧富の格差拡大であると言われています。一見遠回りですが、中東地域の経済的基盤を支援することは、中東地域の安定に繋がり、ひいてはそれが世界の人たちが平和に暮らす社会に繋がっていきます。
そして、日本にも多くおられるイスラム教徒は、優しい平和を愛する人たちです。彼らが偏見の目に晒されないようにしていくことは、とても大切なことです。
世論が過度に感情的にならないことが必要。そして世論は、私たち一人一人が創り出しています。
半年前に当ブログで、『かつて「反戦」だった日本国民は、次第に戦争に「熱狂」し、そして戦争を始めた』というエントリーを書きました。
これは佐々木俊尚さんの下記Tweetに賛否両論の反応があったのを見て、書いたものです。
Togetter: 佐々木俊尚さん sasakitoshinaoの「国民が大喜びで戦争を求めたからです。」
1941年年頭の世論調査では「日米開戦は避けられる」という意見が60%ありました。しかし1941年12月、英米との交渉に弱腰な政府に対して、首相官邸に「日米開戦すべし!」という強硬な投書が3,000通殺到し、1941年12月8日日本は米国に宣戦布告しました。
いったん世論が感情的になってしまうと、時としてその代償は計り知れないものになります。
このような時期こそ、感情に流されるままに、ナショナリズムで高揚したり、他民族への偏見に陥らないように、戒めたいものです。
【2015/2/10 13:00変更】
(1).本文中の「イスラム国」の記述を、全て「ISIL」に変更しました。