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「新・資本主義宣言」を読んで(2) 田坂広志先生の論説『「目に見えない資本主義」を見つめる日本型資本主義の原点へ」から

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昨日の続きで、「新・資本主義宣言」(毎日新聞社)からです。

本日は、本書から田坂広志先生の論説『「目に見えない資本主義」を見つめる日本型資本主義の原点へ」を読んで感じたことをご紹介します。(論説のサマリーではなく、いくつか特定の箇所のみピックアップしています)

---(以下P.227から引用)----

しかし残念ながら、こうした「目に見えない報酬」を大切にする日本企業の精神や文化は、近年のグローバル資本主義の潮流の中で、大きく失われてしまいました。

 .....「先輩、いつか私も一人前になったら、恩返ししますから」と申し上げると、何という言葉が返ってきたか。「先輩から受けた恩は、後輩に返す。それが会社というものだよ。」その言葉が、いまも心に残っています。

 ところが、最近では、マネージャーに対して「部下を育てないと、君が楽にならないぞ」という言葉が語られ、部下に対しても、「もっと腕を磨かないと、君の付加価値が上がらないぞ。付加価値が上がらないと、給料は上がらないぞ」といった言葉が語られる。こうした浅薄な「教育観」や「成長感」がこの数十年の間に広がり、日本企業の素晴らしい「教育観」や「成長観」は、失われてしまいました。

---(以上、引用)----

私も人材育成責任者を今年6月末まで1年半担当しました。ここで会社から期待されていたのは「社員のパフォーマンス向上」でした。

一方で私は、自分自身の目標として、「一人一人が、個人としても成長して欲しい」と考えました。そこで経営者の方々にご登壇をいただいて社内早朝勉強会を開催したり、様々なビジネス研修を行ってきました。

事業部のシニアマネジメントも「これは大切だ」と共感し、サポートしてくれました。

しかしかつての日本企業では、このようなことは日々の仕事の中で学んできたのですね。

私も20代だった1980年代、今は鬼籍に入られた部長から、ビジネス文書の書き方を時間をかけて赤ペンで徹底的にしごかれました。厳しい部長でしたが、忙しい時間を縫って指導していただけるのは、本当に有り難かったですね。

当時のマネージャーは当たり前のように部下をこのように指導していました。

しかし今、そのようなことは少なくなったように思います。昔のマネージャーもすごく多忙だったので、「現代は余裕がなくなったから」ということは理由ではないと思います。

なぜ出来なくなったのか?

モチベーションがなくなったのか? そもそもスキルが失われたのか?

改めて考えてみることは必要なのではないか、と思います。

 

---(以下、p.244から引用)----

....欧米のビジネス論は、ほとんどが「いかにして顧客に商品を買わせるか」という操作主義に染まっています。最近、注目を集めているCS(顧客満足、Customer Satisfaction)という言葉も、表面的には「いかにしてお客様に満足していただくか」という考えに見えますが、その根底には、顧客を操作の対象として見つめ、いかにすればその満足度を高め、リピート客にできるかという密やかな操作主義があります。それは、言葉を換えれば、企業と顧客との関係を二項対立的に捉える思想であるとも言えます。

 しかし、日本型経営の思想においては、お客様を単に「商品を売りつける相手」だとは捉えません。そうではなく、お客様と売り手を一体と見る「主客一体」の思想が根本にあります。すなわち、日本では、お客様とは商品の売買という「ご縁」によって巡り会った大切な方だと考えています。....売る側も成長していく。それを、「お客様に育てて頂いた」と受け止める深い思想があるのです。

このように、日本企業の「顧客観」と、欧米企業のそれとは、全く異なるのです。

---(以上、引用)---

「企業と顧客との関係を二項対立的に捉えている」という洞察は、最近モヤモヤと感じていた問題意識をズバッと指摘いただいたように感じました。

たとえばオルタナブロガー仲間である、e-Janネットワークスの坂本さんや、日本シーエーディの小俣さんも、商品企画段階で積極的に顧客とやり取りを行い、一緒に商品を創り上げておられます。

お二人とも当たり前のようになさっていますが、これはまさに「主客一体型開発」とも言える方法なのですね。

本書を読んで、それは日本型経営の実践に他ならないのではないかと思いました。

 

学ぶべきことは、まだまだ沢山あります。

 

 

 

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