2014年に登場する「コンビニの新商品」を予想してみよう(後編)
こんにちは。今回もお読みいただきありがとうございます。
前回に引き続き、コンビニの2014年の新商品を、皆さんと予測したいと思います。
まずは前回のおさらい。
・新連載、数字のオモテとウラを学ぶコラムがスタートしました!
(この記事はその「裏記事」です)
・コンビニアイテム2500個を分類するときには「MECE」に気をつけよう
というわけで、10個に分類されたコンビニのアイテムの売れ行きを分析していくことにしましょう。
10個の分類を、改めて整理します。
「お弁当、惣菜」
「おにぎり、パン、サンド」
「飲み物(酒類除く)」
「新聞・雑誌・書籍」
「アイスクリーム」
「お菓子・スイーツ」
「酒類」
「文具、小物家電」
「日用品、衣類、薬」
「たばこ」
さらに分析の軸を加える
これらの10個の分類について、それぞれ「売れている分類」と「そうでない分類」に振り分けていきます。そうすることによって、「どの分類を強化すれば良いか?」が見えてくるはずです。
ただ、24時間、365日営業しているコンビニで一体何が売れているのか?を想像するのも難しいので、「24時間」を4つに分類してみましょう。具体的には、「朝」「昼」「夜」「深夜」です。こうすることで「朝は新聞が売れる」「昼は弁当が売れる」というように、各ジャンルの売れ行きを大体想像することができるようになります。
また、「売れている」「売れていない」も個人的な感覚が影響するので、できるだけ客観的に分類できるように工夫をします。今回は以下の3分類で分解を試みました。
「めっちゃ売れてる!」・・・その時間帯で、下手すれば2人に1人くらいが買っていそうなもの
「そこそこ売れてる」・・・「めっちゃ!」ほどではないが、5人に1人くらいなら買っていそうなもの
「たまーに売れてる...」・・・上記以外。
もちろんこれでも感覚の差を埋めることはできないので、何名かで話し合いながら分類を決めていくなど、客観性を維持する工夫は必要になるでしょう。
で、僕のほうでやってみた分析結果が、この表です。
この表ができて、はじめて地に足の着いた分析ができるようになります。例えば、こんな感じです。
【時間帯ごとの分析】
・朝、昼の時間帯は「売れ行きを引っ張るアイテム=主力商品」がある。
・夜の時間帯は、これといった「主力商品」がない。しいて言えばおでん?でも「めっちゃ!」というほどではない。
・深夜の時間帯は、そもそも客数が少ないし売れ行き商品も特にない。
深夜の時間帯は、コンビニでは床の掃除を行ったり、夜明け前に新聞や食品を入荷して陳列する作業があったり、接客以外の作業が非常に多い時間帯です。この時間帯は客数も少ないので、無理に新商品を投入する必要はないかもしれません。
しかし、「夜」は話が違います。残業中、あるいは帰宅してきた人たちが立ち寄ることも多いコンビニ。この部分は何とかテコ入れをしたほうが良いのではないか?と思われます。
【アイテムごとの分析】
・「新聞」「おにぎり」「弁当」などは、朝、昼といった書き入れ時をもっている。
・一方、アイテム別に見ると、「文房具」「日用品」「たばこ」は、時間帯と売上があまり関係しない。
・「酒類」は売れるとしたら夜か深夜。でも、「そこそこ」「めっちゃ!」にするほど売れているかというと、多分そんなことはない。
なお、最後に指摘した「酒類」は、人によっては「そこそこ」に分類される可能性がありますが、「どうせお酒を飲むなら居酒屋」か、「缶ビールを飲むならスーパーで安く買う」というスタイルが主流だろうな、と思い、「たまに・・・」に分類しました。
本来、「酒類」は夜にしか売れない性質のものです。にも関わらず、夜ですら主力商品になれていないとしたら・・・この「酒類」に手を入れることで、コンビニの売上を改善させることができるのではないか?というアタリを、つけることができるわけです。
よし、新しく何を売ろうか!?
先ほどの分析で「夜の時間帯のテコ入れ」を「酒類に関連して」行うことに決めました。これくらい焦点が絞られていると、新たに何を売るかを考えることができそうですね。
酒類がなぜ売れないか、先ほどそのヒントのようなものを書きました。
お酒をたしなむ場所は「居酒屋」「家」のどちらかであることが多いです(花見の時期は屋外もありますが)。居酒屋でお酒を飲む場合には、コンビニの缶ビールを買っていくわけにはいきません。ですから、コンビニで買ったものは家で飲むわけなのですが、それなら、予めスーパーやディスカウントストアで買い込んでおいたほうが、安い分お得です(私も晩酌をしますが、ビールは安いときに買って、備蓄しています)。
こういうとき、とりうる戦略は何か。
- ・お酒の値段を下げる
- ・スーパーで売っていないようなお酒を売る
このどちらかですね。
しかし、お酒の値段を下げるのは得策ではありません。コンビニは価格ではなく「立地」や「営業時間」「商品ラインナップ(いろいろなものがそろっていること)」などの付加価値性で戦っている業態です。お酒を値下げしたら他のアイテムにもその影響が波及して、価格崩壊が起こります・・・そうなると深夜営業などにかかる経費を負担しきれなくなります。
というわけで、「スーパーで売っていないようなお酒を売る」これが戦略として考えられることになるのです。
実際、「コンビニ限定」と銘打ったビールが並ぶこともたまにありますよね。コンビニでしかそれが買えないなら、高いものも買うし、場合によってはそれを買うためにわざわざコンビニまで来るかもしれない。しかも売られているのはお酒ですから、ついでにおつまみとしてお菓子や惣菜を売ることができ、客単価の向上にも役立ちます。
では、スーパーで売っていないお酒といえば、何か。
・・・ずばり僕の答えは、「生ビール」です。
言うまでもなく上述の条件を満たしています。ひとりだから居酒屋に行くのも嫌だけど、ちょっと良いビールを飲みたい・・・そういうニーズを拾い上げることもできます。
スーパーとの価格競争は必要ありませんが、居酒屋との競争は多少必要になります。しかし居酒屋とはちがい、厨房や座席を持つ必要がないコンビニでは生ビールの単価はかなり抑えられるはず(コンビニのコーヒーが100円で売れるのも同じ理由です)。
ビール会社とは既に取引がありますし、配送コストが追加で生じる懸念も多くはありません。
ビールをこぼさないように家まで持ち帰るような容器、運転者には売らない、など色々工夫は必要ですが、投入できればかなり面白い稼ぎ方をしてくれるのではないかと予想しています。
もちろん、これは「予想」です。この答えが当たっていない可能性も十分あります(笑)。それでも、こういう予想を立てること自体はとても面白いので、皆さんも是非、ご自分なりの予想を立ててみてください。
コンビニの前を通り過ぎるのが、楽しくなると思いますよ。