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時事ネタ、マーケットや経済の話を、ファイナンシャルプランナーの視点で難しい話もなるべく専門用語を使わずにできるだけわかりやすく解説します。ときどき、思いついたこともそのまま書くこともあります。よろしくお付き合いください。

金価格が上昇しているのはなぜ

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 金(GOLD)は、宝飾品としては、誰にでも人気のある商品です。女性に限らず、男性でも金縁の眼鏡とか、金製商品を好む人が大勢います。そもそも、その光輝く美しさに価値を見出すものでもあります。インドが金を重宝するのは、光り輝くものは縁起がいいものだそうです。お父さんが娘の嫁入り道具に金を持たせるというブライダル需要があります。娘に恥をかかせないようにと、ここは奮発するそうです。日本とは少し違う風習ですね。日本のお父さんも娘に金の宝飾品を持たせてもいいんですよ。
 年間の金の発掘量が2600トンと、その希少性に価値が付いてきます。流通量が少ないので、持っているだけで欲しい人がいるということで価値が生まれます。ここまでは、何となく理解できると思います。昨年は中国とインドだけで1600トンも買ったそうです。生産量の半分以上がこの2国に流れているということになります。新興国の金需要が伸びたことも金価格の上昇を支えています。ここまでは実需、実際の金の取引による価格上昇です。
 金取引が、現物の金の延べ棒などを売り買いする以外に、市場(マーケット)で、売買できるようになりました。金ETFです。実物を手にすることなく、金の売買ができます。当然、売りという、値下げ局面でも収益を得ることもできます。金先物市場というものもあります。ここまで来ると、なんのこっちゃという感じですが、つまりは、金という、希少価値の商品が、実物を介さなくて取引できるので、実物の量以上のお金が飛び交うことができるということになります。これが、金の価格を、実勢価格以上に大きく引き上げることになります。でも、実物の価格も、これら、大きく引き上げられた価格で買ってくれますから、ますます投資としての旨みが出るということになります。
 ここで注意が必要です。日本でも取引は、当然日本円ですが、海外では、世界のスタンダードはドルです、金先物などで金に投資したとして、金自体の価格が上昇して円安が加速すれば倍以上に儲かることになります。金価格が下落しても、円安のままであれば、日本価格はさほど下落しないこともあります。しかし、金価格が下落し円高になれば、損失は無限大ということになります。
 金(GOLD)は実物資産ですから、通貨や有価証券への不信が募ったときに上昇するのが教科書的です。「弱いドルに強い金」とよく言われます。ドルが弱くなると円は強くなるということになります。あくまでも教科書的です。
 この教科書的なことを覆しているのが、金(GOLD)は通貨の要素があることです。無国籍通貨です。この場合、通貨として買われますから、なかなか教科書通りにはいきません。どこの国にへ行っても、金をその国の通貨に両替すればいいわけで、国に所属していないので、通貨のような発行国の経済状況に影響を受けることはありません。デフォルト(債務不履行)の心配がない通貨が金(GOLD)です。ドルのヘッジで金も一緒に買うことにより、ドル高金高になります。
 各国の外貨準備預金の金のウェイトも上がっています。つまり国が金を買っているのです。「リバランス」ということもあります。つまり、外貨準備預金の中の株や債券の比率を投与決めますが、株価が上がって、全体の中の株の比率が上がり、金の比率が数字上下がります。比率をもとに戻すには金の保有量を増やすことになります。
 昨今の金価格の上昇は、おそらく、通貨的要素で上昇していると思われます。
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