「ソーシャルCRMの列車はもう動き出している」とオラクルSVP
先日、オラクルのCRM担当SVPのAnthony Lye氏にインタビューしましたので、ブログに載せられそうな部分のみ抜粋してご報告します。
同氏はSiebel, Remedy等でマネージメント職を経験してきたCRMのベテランです。気さくにお話ししてくれましたが、眼光鋭くてちょっと怖いです(笑)
栗「Anthonyさんは、オラクルの4つのCRM製品ラインをすべて担当されているのですか?」
ア「はいそうです。EBS CRM, Fusion Applications CRM, Peoplesoft CRM, Siebelという4つの製品ラインはそれぞれ独立して開発されていますが、戦略は私が統括しています。」
栗「その4つの製品ラインをどのようにポジショニングしているのですか?」
ア「それはよい質問ですね。お客様のセグメントに合わせてポジショニングしています。Who buys?そしてWhy do they
buy?にしたがってセグメントしていると言って良いでしょう。たとえば、スイート製品指向でかつCRMを戦略的にとらえているお客様にはSiebelを
おすすめします。スイート製品指向だがバックオフィスが重要と考えているお客様にはEBSをおすすめするということになります。」
栗「ということは、その4つの製品ラインを当面維持していくことになるでしょうか?」
ア「最終的にはFusion Applicationへと移行していただくことになるでしょう。ただし、それには時間がかかります。最終的に移行しないお客様も出てくると思いますが、それはやむを得ないと考えています。ソフトウェアの世界とはそういうものです。」
(ここでしばらく競合に関する話が続きますが割愛)
栗「CRM関係で重要な動向としてソーシャルCRMがありますが、お客様の反応はどうでしょうか?」
ア「ソーシャルCRMがまだ先進的動向であることは確かです。しかし、アーリーアドプターのお客様は強い関心を持っています。世の中が私達の予測より速く動いているといってもよいかもしれません。そもそも、私がたとえばデジカメを買おうとする時にはもう企業のウェブサイトを見ることはありません。ブログやコミュニティサイトで情報を収集します。消費者はもはや企業に管理されることを望んでいません。ソーシャルCRMは必然的な流れです。」
栗「ソーシャルCRMを採用した企業にとってはクチコミで販売を拡大できる可能性もある一方で、悪い評判が一気に広まってしまうリスクもあるのでは?」
ア「今の時点でそんなことを言ってもしょうがありません。列車はもう動き出しているんです(The train has already departed)。誰にも止めることはできないのです。企業はそれを受け止めるしかありません。」
(ここで話が少し脱線してITアナリスト業界のソーシャル化の話に)
ア「ソーシャル化の動きはITアナリストの世界でも当てはまることです。従来は専門のアナリストがベンダーの意見をまとめて一方的にユーザーに伝えるというやり方が中心でしたが、今はユーザー企業相互のソーシャルなやり取りが重要になっています。結果的に、私は従来型リサーチ会社のレポート以上にCRM系ブロガーの洞察を参考にすることが多くなっています。一般に、ブロガーのコンテンツはより現場感のあるものが多いと思っています。」
栗「アンソニーさんがよく読まれているCRM系ブログを教えていただけますか?
ア「(MacBookをひっくり返してiGoogleの画面を見せながら)Paul Greenberg、Denis Pombriant、Brent's Social CRM Blog、Church of the Custmoers、Phile Wainewrightなどをよく見ています。これらはみなすばらしいブロガー達です。」
栗「最近の経済情勢は貴社にどのような影響を与えていますか?」
ア「当然当社も大きな影響を受けています。影響を受けていない会社があったら是非知りたいですね、そこの株を買いたいものです(笑)。冗談はさておき、現在のような経済情勢では新しいお客様を獲得することが一般に困難です。既存のお客様の満足度向上とリテンションにフォーカスできる当社は有利な立場にあります。また、ベンダーとの関係を整理して少数のベンダーに集約しようとするお客様もいらっしゃいますが、そのようなケースでもワンストップショップである当社は有利な立場にあるでしょう。」