オルタナティブ・ブログ > 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 >

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

こんな計算で投資判断をする人はかわいそうである

»

ある投資銀行のレポートを見ていたら「あるカテゴリーの企業の平均伸び率がxxxパーセントであった」なんて記載(予測ではなく実績値)がありました。妙に数字が大きいなと思ってよく見たら、何とそのカテゴリーに属する各企業の事業の伸び率のパーセンテージ値をそのまま平均していたのでした。例にするとこんな感じです(あくまで例、実際の数字は違います)。

2007年 2008年 伸び率
企業A 100 200 100%
企業B 10 100 900%
企業C 200 300 50%
平均伸び率 350%

100と900と50の平均で350%という計算ですが、これって各パーセント値の分母が違うのですからそのまま平均を取ってしまってはめちゃくちゃミスリーディングになります。正しくは、以下のように計算すべきです。

2007年 2008年 伸び率
企業A 100 200 100%
企業B 10 100 900%
企業C 200 300 50%
合計(平均伸び率) 310 600 93%

このレポートを書いた人は理系ではなかったのでしょうか、それとも、伸び率の数字を大きく見せるためにわざとミスリーディングな計算をしたのでしょうか?いずれにせよ、この数字をベースに投資判断をする人はかわいそうです。

似たような例ではグラフの縦軸の途中を省略するなどがありますね。以下のような感じ。

Badgraph_3

これも技術系のレポートであれば言語道断ですが、マーケット系の資料では作り手もわかっててわざとやっているケースもあるでしょうね。

Comment(1)