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Dreamforce便り(2):マイクロソフト抜きのエコシステム

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DreamForce初日の基調講演はマークベニオフが1時間半にわたりしゃべりまくりました。

今日はプラットフォームを語る日で明日はアプリケーションを語る日だそうです。昨日のエントリーで実質SaaSなのにクラウド、クラウドと言っていて良いのかみたいな話を書きましたが、ちょっと考え直しました。というのは、Saleforce.com社のプラットフォーム系のビジネスの比重がきわめて大きくなっているからです。Saleseforce.com社=SaaS+PaaSと考えれば、クラウド・プラットフォームの会社と言っても過言ではないでしょう。

さて、プラットフォーム系、つまり、Force.com関連の発表ですが、大きいのはFacebookおよびAmazonとの提携です。両サービスのAPIとForce.com環境が統合されます。

Facebookというと日本ではピンと来ないかもしれませんが、挙手によるサーベイでは聴衆のほぼ90%がFacebookを使っていると言っていました。もう、完全に米国人(学生だけではなくビジネスマンも含めて)の生活の一部になっているようです。

FacebookがSNSとして成功できた最大の要因は徹底的にプラットフォーム化を推進して、Facebook上で稼働するアプリケーションの普及を推進したことです。日本ではようやくミクシィがOpenSocialのサポートでプラットフォーム化の戦略を発表してますが、正直、日本ではまだまだの領域です。現時点における最強プラットフォームのひとつであるFacebookとの提携の意味は大きいと言えます。

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私はブロガー席で聴講していたのですが、FacebookのCOOであるシェリルサンダーバーグ女史が登場するとブロガー席からちいさなどよめきが。やはりインパクト大なのか。

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写真がちょっとわかりにくいですが、隣の席のブロガーさんは、サンダーバーグ女史が登場するとWebCamを取り出して勝手に中継を始めました。それ以外にもTwitterで中継している人がちょくちょく見られました。

Facebookの友人リストを活用したリクルーティングアプリケーションの例などが紹介されていました。SNSの友人リストを活用して採用候補者を探すというのは日本人的にはどんなもんかいなーという感じですが、ランチの時に米国企業のトップの人から聞いた話では「あれは明らかに有効だ」そうです。

もうひとつの発表は通常の社外向けWebアプリケーションもVisualForcedで開発可能にして、Salesforceのデータセンターでホスティングするというものです。これにより、SalesforceのアプリケーションやISVのForce.comのアプリケーションと社外向けWebサイトやイントラネットのコンテンツの有機的連携が容易になります。

Google Appとの連携もすでに発表されており、Salesforce.comをハブとしたクラウドにおけるエコシステムの構築が着々と進んでいるという印象を持ちました。ベニオフは「アジュレだっけ、アジュアだっけ、読み方もよく知らないけど、どーでもいいよ」とマイクロソフト完全無視の姿勢を貫いていました(そういえば、プレスのQAセッションではずっと「ウィンドウズアズーン」と(わざと)間違えてましたね、Zuneとかけてたのでしょうか?)。

プラットフォームを押さえるのが長期的成功への最短ルートというのは、IT業界の誰もが知っている話なので、みな何とか自らをプラットフォーム化しようとして、その多くは失敗しているわけです。しかし、Salesforce.com(+パートナー)は十分にこの賭けに勝てる可能性ありと思います。

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