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フリーライダーを許すビジネスモデルについての続き

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なぜ、フリーミアム・モデルが実行しにくいのかについて、以下のような心理的障害があるのではと思いました。

議論を簡単にするために100万円で作ったデジタルコンテンツのコスト回収を考えます。以下の2つのシナリオを比較してみます。

シナリオ1.1万人に一律100円で販売
シナリオ2.10万人に無料配布、そのうち1%(1000人)がプレミアム版(あるいは物理的グッズ)に1000円出してくれることを期待

最悪のケースとして、どちらも全く売れなかったケースを考えてみると、シナリオ1ではコスト丸々の100万円を損したことになります。シナリオ2も同じようですが、「本来100円で売れていたはずのコンテンツを10万人に無料で配ってしまったのだから1千万円の損」と無意識に考えてしまう人がいるのではないでしょうか?要するにシナリオ2の方がシナリオ1よりもはるかにハイリスクに見えてしまうということです。

これは、一物一価というような物理的な商品の概念にとらわれている結果だと思います。また、1万人に配るのも10万人に配るのもコストはほとんど変わらないというデジタルコンテンツの特性を無視しているとも言えます。もちろん、コンテンツによってはプレミアム感を維持しなければならないのでやたらに無料配布すべきでないものもあるとは思いますが。

結局、意思決定者の人が物理的商品の考え方から抜け出せない限り、フリーミアム・モデルでリスクをとるのは難しいということかと思います。

ところで、話は変わりますが、運転免許を持ってない(今後とるつもりもない)人が、自動車メーカーがスポンサーのテレビ番組を見てたらフリーライダーなんでしょうか、などと思ってしまいました。

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