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漫画喫茶問題を貸与権で解決しようとする考え方について

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著作権関連の書籍が結構なペースで出ています。著作権法は法改正のペースも速いですし、重要な判例がどんどん出てきますのでできるだけ買って読むようにしています。

著作権法の本の中でも、中山信弘先生、田村善之先生、福井健索先生などの進歩派の先生が書かれた本は読んでいて楽しいのですが、文化庁系の先生が書かれた本はいまいち気乗りがしません(コラコラ)。とは言え、やはりバランスのある視点で勉強することは大事なので、文化庁出身の作花文雄(さっかふみお)先生の「著作権法 制度と政策」の最新版を買ってみました。

まだ、全部読んだわけではないですが、めちゃくちゃコンサバな議論が展開されているというわけでもなく、現代の著作権の要請に合わせた論調になっていると思います。ひとつ気になるのが、漫画喫茶問題を論じた部分です(509ページあたり)。作花先生は漫画喫茶での閲覧を貸与権で処理すればよい(追記: 「著作権法を改正して、貸与権で禁止できるようにすればよい」という意味)という立場のようです。客が本を持って店外に出るか(この場合は完全に貸与権の問題)、店の中にとどまってようが本質的な違いはないと考えておられるようです。

ただ、貸与権で処理してしまうと、定食屋や床屋で客に漫画や雑誌を閲覧させることにも許諾が必要になってしまうので難しい点があるのではないかと思います。作花先生は、

貸与権の制定趣旨にかんがみ、法的規制を及ぼすことが妥当と認められる行為態様のものについて、法の適用をはかることが合理的ではないかと考えるものである。漫画喫茶に対して貸与権が及ぶことにより、他の美容院やそば屋等における漫画本の利用に対して、なし崩し的に貸与権が及びかねないとの危惧は当たらないものと考える。

と書かれていますが、境界領域をどういう論理付けで判断するかについては具体的な記述はありません。私も個人的意見としては漫画喫茶からクリエイターに対して何らかの補償金が回るべきであると考えているので、法律的な整備は必要だと思ってはいるのですが...

ところで、話は全然変わりますが、最近私は漫画に関する土地鑑がまったくなくなってしまい(コンスタントに読んでる連載漫画は「絶望先生」くらいです)、時間つぶしに漫喫に行ってもしょーもない作品を読んでしまい後悔することが増えてきました。どなたか以下の情報から私の嗜好性をプロファイルして、私が気に入りそうな漫画作品を教えていただけませんでしょうか?

あり:
寄生獣(および岩明均全作品)、 ナニワ金融道、銀と金、カイジ(黙示録のみ)、グラップラー刃牙(最強トーナメントあたりまで)、餓狼伝、殺し屋イチ

なし:
ドラゴンヘッド、ナニ金類似品、カイジ(破戒録以降)、ドクターコトー(および類似品)、ドラゴン桜、弘兼憲史全作品、井上三太全作品

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