オルタナティブ・ブログ > 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 >

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

Creative社のiPod訴訟について

»

昨年の8月にCreative社のMP3プレーヤーのUIに関する特許(米国特許番号6,928,433)が成立しました。その時は「あらゆる選択肢を検討する」という話だったのですが、結局、iPodの製造・販売の差し止めと損害賠償を求めて訴訟が提起されました(参考記事)。前にも似たような訴訟があってこのブログでもちょっと書きましたが、その時はiTunesが対象で今回はiPod本体が対象です。

で、Creative社の特許がどういうものかというと、米国商標特許庁の検索ページから、番号6928433を入れると見れます。ポータブル音楽プレーヤーの楽曲を、ジャンル、アーティスト、アルバム等の階層構造で選択できるという特許です。自分は現在米国特許法勉強中ですが、「米国ではこんなので特許取れちゃうのね」というのが正直な感想です。

日本の特許の運用ですと、既存の技術と比較してコンテンツにのみ特徴がある場合には、新規性・進歩性の欠如により特許を受けることはできないとされています(コンピュータ・ソフトウェア関連発明の審査基準(PDF)の19ページ参照)。レコードを複数のカテゴリーで階層的に検索できるようなデータベース・アプリケーション(たとえば、住所録)は昔から周知だと思いますので、それを単に音楽プレーヤーに適用しただけの本発明は日本では拒絶査定になるのではと思います(あくまでも私見ですが)。

追加情報: AppleがCreativeに訴えられた日に、Appleも自社の特許に基づきCreativeを訴えたようです(参照記事)。Appleの特許についてはまた調べて報告しますが、やはりユーザー・インターフェースに関するもののようです。Creative社の談話として、「Creativeは友好的解決策を模索するためにAppleと話し合っていたが、今回の訴訟の根拠となっている特許のことは知らされなかった」と書いてあります。自分が訴える前に相手がどういう特許を所有しているかくらいは調べておいた方が良いのではと思います>Creative。まあ、いずれにせよ、不毛な戦いという気がします。

Comment(1)