【お知らせ】ジェフリームーアの新作を翻訳しました
キター!(AA略)ということで、ハイテク業界最強コンサルタントの一人、「キャズム」でおなじみのジェフリームーア氏の最新刊「ライフサイクルイノベーション」(原題:"Dealing With Darwin")を翻訳いたしました。5月16日発売予定。Amazonで予約受付中です。
「キャズム」を読んだことがある人は、「誰もが薄々感づいてはいるがうまく説明できていない市場力学」を明確にフレームワーク化するムーア氏の能力を評価されていると思いますが、本書でもその能力は健在です。「キャズム」が如何に市場自体の成長に乗って企業が成長していくかの本であったのに対し、本書は、市場が成熟化、コモディティ化、さらには、衰退する中でも如何に差別化を継続していくかにフォーカスが当たっています。これを説明するために「14のイノベーション・タイプ」というモデルを使っています。IT市場の一部が既に成熟市場化(さらに一部は衰退市場化)している中で良いタイミングでの出版だと思います。
それと、本書の最後の4章はちょっと毛色が違っており、イノベーション戦略の遂行において人材をどう有効活用すべきかの話になっています(想像ですが、元々は別の本にする予定だったのをまとめたような気がします)。コアでない仕事はどんどん海外にアウトソースして、社員はレイオフすれば良いという発想ではなく、如何に人材をリサイクルしてレイオフを最小化して従業員の士気を高めつつ、競争力を維持していくかという目からウロコのお話です。
(一点書き忘れてました) 本書のもうひとつの特徴はシスコをケース・スタディ企業として全面的に使用しているということです。シスコの提灯本ということではありません。シスコの経営を本書で提示したフレームワークに当てはめて分析しているということです。これにより、この種の本にありがちな「フレームワークは美しいが、具体的イメージがつかみにくい」という課題がかなり改善されているかと思います。
実は、ここんとこ異常に忙しかった理由のひとつがこの翻訳の仕事でした。こういうちゃんとした本の翻訳は自分の勉強にはなります(たぶん、原書を10回くらい熟読したことになるでしょう)が、体力的にはちょっとタフですね。山形浩生氏のようには行きません。まあ、今後も年間で2冊翻訳、1冊書き下ろしくらいのペースでやっていければ良いかなーと思っております。