最近、個人情報の入ったパソコンを落としたというニュースを聞きませんね
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数年前、某インフラ企業の部長と話していたとき、「もし私がパソコンを落としても、個人情報は一切入っていないと言い張りますよ」と言っていた。どんなにセキュアにしていても、マスコミは、セキュリティーがかかっているかどうかなどに関係なく「個人情報は入っていたのですね?」という質問だけして、もし入っていたと答えた瞬間、鬼の首を取ったように報道するのだから、それに対抗するには、「入っていない」と言い張るしかない、と吐き捨てるように言っていた。
私も、個人情報に対するマスコミの異常な反応に、尋常ではない怖さを感じていたので、セキュリティー担当のその部長に心から同情した。
しかし最近は経済問題に目が移ったのか、個人情報漏洩を書いても視聴率が取れないから報道しないのか、はたまたマスコミの恐怖報道のお陰で、ノートPCの持ち出しが激減したのか知らないが、「個人情報の入ったパソコンを落とした」報道は、なりを潜めた。
今ならマスコミも聴く耳を持つかも知れないと思って書くが、落としても読まれる危険性のほとんどないセキュアなパソコンを落としたことを、新聞の大事な有限のスペースや、一日24時間しかない時間の一部に割り込ませて報道する価値があったのだろうか。
そんな記事を書いた記者は、改めて考えてほしい。影でどれほどの大企業のセキュリティー担当者が苦悩していたかを。その記事がどれほど価値があったのかを。
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