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パソコン自分史(12) 今読んでもドキドキする

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080810_055501 手元になくなっていた最初の著書(共著)「ビジネスソフトの実際」が昨日届いた。改めて読み返して驚いた。ここまで書いていたのかと。業務フローの書き方からHIPOやデシジョンテーブルを使った設計書の書き方、帳票設計の具体的な方法など、当時持っていた知識を総動員して書いていた。今から28年前、昭和55年9月1日付の「まえがき」を改めて読んで、当時の私の興奮ぶりがを思い出した。以下「まえがき」から

・・・・・当時は32KB程度のメモリーのコンピューターでも、電子計算課とか事務管理課などという名前の組織のもとに運営されていたのです。なんというコンピュータの進歩でしょうか!
当時を知る者として筆者には、マイクロコンピューターの出現が夢のような気がします。そしてなんと価格が安いこと!
こんな素晴らしい能力を持ったマイクロコンピューターを、ビジネスに使わない手はありません。私はこう思います。今、マイクロコンピューターを手にしている人やこの本の読者は、マイクロコンピューターから試されようとしています。「何をか?」ですって。それは、「マイクロコンピューターを、ビジネスに使おうとしているあなたのシステム設計能力を」です。
マイクロコンピューターはこう言ってます。「ぼくは無限の潜在能力を持ている。でも、自分自身でそれを発揮することはできない。僕の能力を十分に引き出して、有効に活用してくれる人に巡りあいたい・・・・・」と。
マイクロコンピュータだから、業務用に使おうとしても簡単なことしかやらせられないだろうとか、オフコンやミニコンでやらせているような本格的なビジネス処理はできないだろう、などと、あなたのマイクロコンピューターを過小評価してはいませんか。
筆者は超大型コンピュータによる大規模システムを、いくつも開発した経験があります。その筆者が、マイクロコンピューターのとりこになってしまったのです。それは、ひところの汎用コンピューターと同等の能力を持っているし、使い勝手から言えば何倍も使いやすくなっている事実を目の当たりにしたからです。
もちろん、マイクロコンピューターには欠点もたくさんあります。けれども、欠点があるという認識をしっかり持った上で、これからマイクロコンピューターの素晴らしい能力を、いかに引き出すかを熱心に考えようではありませんか。
銀行が、コンピューターなしでは成り立たなくなっているように、あなたの仕事もマイコンなしでは考えられなくなるような、そんなシステムを作ってみてはいかがですか。本書が、そんなあなたのためのシステム設計の手引書となれば、これほどうれしいことはありません。
昭和55年9月1日 片貝孝夫・内山正紀

本文中にこんな記述もあった。「もしテストをきちんとしてなくて、おかしな結果が出て、それを他の人が見たとき、あなたが疑われるのではなく、コンピューターが疑われるのですよ。だからテストはしっかりやってください」。当時マイクロコンピューターは信用されてなかった。だからそれを仕事に使うには勇気が要った。その空気をよく知っていたから、思わずこんな記述になったのだと思う。読者も「こんな表現」を素直に受け入れる熱い読者だった。

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