一人でも製品開発販売事業はできるもの!
今日は久しぶりに少しまとまった時間が取れそうでしたので、ProDHCPの機能向上に取り組みました。少し前から「こういう使い方をしたい」とSIerさんからチラホラ相談をうけるようになってきた機能への対応です。もっとも、機能というより、根本から覆すような大幅仕様変更に近い気もするのですが・・・。多少進んだので、気分転換にブログを書くことに。。
「DHCP 製品」で検索すると、自分のブログ記事が出てきました。2010年2月18日に書いた記事で、「DHCPサーバを製品化した背景」というものです。最後の方に「管理IP数が33万個もある」と書いてありますが、今やProDHCPを使う案件では300万IPくらいは当たり前という感じになってきました。スマートフォンの普及が端末数の増大につながっています。ProDHCP自体の性能も何度も改善してきました。
ProDHCPは2009年から販売が始まったのですが(実際はその前からあったのですが)、ProDHCPとしての販売も、OEMでの販売もだいぶ増えてきました。今年はまだ7月の時点で昨年と同じくらいの販売数です。
基本的にProDHCPは社内で私一人でやっているようなものです。ProDHCPをベースにしたProDHCPv6(IPv6版)は私以外のメンバー達が対応してくれていますので、IPv4版のProDHCPも、もちろん私以外のメンバーでも技術レベル的には全く問題なく対応できるのですが、現状は私一人で対応しています。そんな製品の背景をわざわざ明らかにする会社はまずないと思いますが、きちんと理由があるので問題ないのです。
・一人で十分対応できる案件数
ProDHCPは既に十分実績のある製品ですし、そんなにたくさんのお問い合わせがある製品ではないため、私一人で十分対応できます。
・一人で十分対応できるソース規模
だいたい現時点でC言語のソースコードが4.3万行くらいです。このくらいであれば一人で管理・対応した方がスピーディーで品質の維持も楽です。
・GUIは標準で付属しない
管理用のGUIなどがあると、要望対応などが一気に増えて複雑になりますが、ProDHCPは標準で一切UIを持ちません。設定ファイルと付属コマンドラインツールだけですので、一人で十分対応できるのです。
・商談のシンプル化
私の頭に全てが入っていますので、OEM先との商談やSIerさん、お客さんとの商談がシンプルになります。対応の可否を即答するどころではなく、商談中に機能追加を目の前で行ったり、構築支援中に支援ツールを追加作成したりすることも簡単です。同じレベルの対応ができる競合製品を見たことがありません。
・製品マニュアルすら付属しない
テキストベースの説明は付属しますが、製本されたマニュアルどころかPDFのマニュアルも付属しません。機能追加を早くできるための重要なポイントです。ユーザはプロのITエンジニアですので、基本的にマニュアルなどいらないのです。マニュアルなしで使えるように、設定ファイルを業界標準のフリーソフトに近い形式にしたりするなど工夫はもちろんしています。この方針のおかげで、すでにバージョンアップは95回くらい行っており、現在のバージョンは9.5。毎回まともなマニュアルを作っていたのではとても実現できない要望対応のペースです。しかも、テキストベースの説明書は追記が容易なので、もれなく改良点が記録されており、体裁ばかりのマニュアルより、はるかにありがたいとユーザさんからは喜んでいただいています。
・ライセンスロックをしていない
回線事業者や大手企業以外では使ってもほぼ意味がない製品ですので、あえてライセンスロックはしていません。IP数などの規模に対する制限もしていません。商売っ気がないとよくいわれますが、そのような管理をする方がはるかに管理コストが必要になってしまいます。これまでも数々のお客さんに提供してきましたが、裏切られるような使い方は一つもありませんし、保守契約もほぼ100%締結していただけています。お客さんもITのプロですので、心配不要と割り切っています(当社製品でもロックをしている製品ももちろんありますので、製品の特性によるものとお考えください)。
・営業はほぼしない
OEMは当然ですが、ProDHCPとしても、売り込みは基本的にしません。たまにこうやってブログに書くくらいです。さらに商流関連も手間がかかるので、パートナーさんや販売店さん経由で購入いただくことも多く、基本的に技術的な商談対応が中心です。
・私が社長なので深夜や休日対応も問題ない(半分冗談)
社長はひどい条件で仕事をしても怒られませんので。。まあ、実際は製品が安定しているので、深夜対応や休日対応などほとんどありませんが。
かなり特殊な製品ですので、あえて一人でやる方法で対応し、結果を出してきているのです。基本的にお客さんは回線事業者かSIerさんで、担当いただくのはプロのITエンジニアです。「製品とはこうあるべき」などと立派なマニュアルやサポート体制を準備するよりも、「製品自体の価値」「やりたいことを実現できるかどうか」「即答してもらえるか」などの方が重要と考えるお客さんがほとんどなのです。形式的にやるだけが製品開発販売ではない、という面白い例でしょう。
実績が増え、安定した今となっては、技術的な面と営業的な面を合わせても、私の仕事時間の1/5も使っていないと思いますが、定常的に収益につながっていますし、多くのお客さんに喜んで使っていただいています。
もちろん、当社製品でもIntraGuardian2などのように、ユーザ数が桁違いに多くなり、機能もUIも豊富で、ユーザの幅も広い製品ではこんなやり方は無理です。製品によって様々なのです。
なぜこんな記事を書いたかというと、「製品開発販売事業をやろうと思っても、人・物・金がないから、所詮夢物語だ」と考える人が多いからです。特にソフトウェアはパソコン1台で誰でも製品が作れるものなのです。スマートフォン向けのアプリくらいなら、というわけではなく、日本のインターネットを支えるような製品を一人で作って販売することだってできるのです!日本は実績と体裁ばかり考えるから、海外製品を横流しするビジネスばかりだ、という感じも強いですが、実際はちゃんと見る目を持ったエンジニアもたくさんいて、良い製品・良い人はきちんと評価されます。
まあ、本音を言えばメンバー達に任せたいところなのですが、社内は他のIT製品やゴルフ練習場向け製品で大忙し状態。。誰かネットワークプログラミングが大好きで一緒にやりたい人いませんか!?