仕事ってどうやって集めるのだろう→リーダーとは・起業とは
今朝、ミーティングの後に、IT事業部のリーダーたちに残ってもらい、「上期の業績見込みがまだまだノルマに足りていないが、どうするのか?」ということで話をしました。IT事業部の事業部長は私が兼務していますが、基本的に3人のリーダーがIT事業部長を、あるいは別事業部立ち上げを目指してがんばっている状態で、私は3人に舵取りを基本的には任せています。しかし、やり方の自由はノルマを越えてはじめて勝ち得るものですから、リーダーたちには意地でもノルマを越えて欲しいのです。もちろん、ノルマに対する全責任は事業部長であり社長の私が負っているのは当然ですが。
IT事業部では「製品開発販売事業」「受託開発事業」の2つを中心に活動しており、3人のリーダーがそれぞれ役割分担しつつも、それぞれの仕事をオーバーラップしながら進めています。良い面もたくさんありますが、フライのお見合いのように、お互いに譲り合ってしまって結局取れない、という心配もあります。今は業界も不景気ですし、取りすぎて困るくらいの気持ちでやらないと駄目な状態です。
IT事業部は元々は私が入社3年目に、CADシステム開発販売事業を行うチームとして立ち上げました。当初はCADシステムは開発中で売れないし、できあがっても後発のためなかなか売れず、ひどい業績で、幹部ミーティングでは毎回私は攻撃の対象でした。その後、私も含めて出向をしたり、小さい開発の仕事を請けたりしながらCADシステムからIT全般に方向転換し、入社8年目に黒字化し、その後は受託開発を中心に黒字を続けてきました。入社17年目(2005年)に社長の命を受け、受託開発のみではなく、製品開発販売も本格的に立ち上げようと準備をし(製品はその前から個人的に作ってきましたが)、リーダー志願者たちに徐々に舵取りを任せてきたという流れなのですが、業界の不景気ももちろんあるとは感じるものの、業績はまだまだの状態です。
リーダーたちは私のやり方の気に入らない点があるからこそ、自分でリーダーになりたいといっている面もあるわけで、自分のやり方を通すためにはノルマを越えるのは最低限の約束事です。もちろん私も事業全体の責任がありますから、放置はしていませんが、口出ししすぎてしまうとリーダーの存在価値が薄れてしまいます。従って私がやるべきことはリーダーのお尻をたたくことなわけです。
早速、「小俣さんはどうやって仕事を集めてきたのかを、あらためて教えて欲しい」と相談があり、私のやり方を話したりしながらアドバイスしました。
仕事は人と人の関係から生まれるものです。私がどうやって仕事を集めたかと聞かれれば、「人との関係を大切にしてきた」の一言に尽きます。
●はじめてお会いしたときに確実に覚えていただけるように、インパクトのある言動(もちろん節度あるもの)を
- 著書やプログラミング実績、さらに、開発論とか、相手の方の志向に合わせて自分の考えを話す。
- 仕事の話だけでなく、趣味の話なども含めて自分に興味を持ってもらう(個人ホームページやブログは効果的なツール)。
●お会いした後にフォローを忘れずに
- こんなものが欲しいと言われればプロトタイプを作ってすぐに渡す。
- お礼のメール。
●仕事を進めている間の行動
- しっかり進めていると感じてもらうように、頻繁すぎるくらいに質問・進捗のメールを出す(あるお客さんは私からの質問メールの量に驚いたそうです)。
- 安心してもらうために、動くものをできるだけ早く、頻繁に渡す。
- 躊躇せず、必要と思えばすぐに会いに行く。
●その後の関係の維持
- 相手の方のタイプに合わせて、しつこくなりすぎない程度に情報交換などのやりとりを。
- 単に「ご無沙汰です」とはメールできないので、新しいネタを用意する(著書とか新製品とか、最近こだわっていることとか)。
●困ったときには自分をさらけ出して頼る
- 自社の実情を差し障りのない範囲でできるだけ伝え、「今とても苦しいので、できる範囲で助けて欲しい」と素直に頼ってみる。
- 逆に相手が困っているときにはどんどん助ける。
こんな感じに行動してきました。相手の立場になって考えてみることがポイントです。困ったときに頼られたとき、「あぁ、あの人にはあの時お世話になったから、何かしてあげたいな」と思ってもらえるかどうか、「あの人とならまた一緒に仕事をしたいな」「久しぶりに会って話がしたいな」と思ってもらえるかどうか、これが仕事を集められるかどうかのポイントだと私は考えています。そのためには、会社で口を開けて待っていても駄目で、こちらからきっかけを作って会いに行くことが大切です。いろいろな仕事の中で、仕事を集めることが一番難しいのは、人間関係を築くことが難しいからでしょう。手順通りにやればできるというものではありませんから。
無名な中小企業では、有名企業でブランド力で仕事が集まる状況とは全く異なり、自分の人間性でしか仕事は集められないと感じています。有名企業の真似をしても上手くいきません。泥臭くてもなんでも、仕事を集めて稼いで実績を作っていくことが大切な一歩なのです。製品だって多少良ければ売れるというほど単純ではありません。販売してくれる会社さんや、興味を持ってくれたお客さんとの関係を大切にしていかなければ広がらないのです。その地道な積み重ねが結果としてたくさんのファンを作り、ブランドを作っていくのだと思っています。
私が事業部のリーダーとしてノルマを背負ってきたときのことで今でも覚えているのが、半期のノルマの目処がつかないときに、本当に両手を合わせて毎晩神様に祈ってました。「どうかチャンスをください」「一生懸命やっているメンバーたちに良い仕事を巡り合わせてください」「我々の良さを知ってもらうきっかけだけでもください」という感じに・・・。今でも正月には3枚のお札を毎年交換して、簡易神棚(?)に入れて「がんばります」と誓っています。私が自分でわがままを言って立ち上げた事業部でしたから、ノルマを越えるために本当に死にものぐるいだったのです。自分のやりたい事業を立ち上げるというのはそういうことなんだと思っています。ちょうど今、オルタナのテーマで「起業の現実」という話題がありますが、会社を作るだけが起業ではありません。社内でやりたい事業を起こすのも立派な起業です。同時に同じような責任がついてくるわけです。
幸いなことに、苦しさを乗り越えれば、必ず自分自身の成長がついてきます。「まあいいか」「仕方ないよな」と諦めてしまったらそれまでです。必死にがんばっていれば周りも見ていますから、応援も出てくるものです。リーダーになるということは、「俺ってすごいんだぜ」と自慢することではなく、「自らを修行の場に置きたいから」という位に考えるのが正解だと思っています。
そんな思いでがんばっているリーダーたち、メンバーたちですので、仕事は一流の仕事をします。どうか機会があれば彼らにチャンスを与えてみてやってください。
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ちょうど、人に関する内容を中心に、「ドジっ娘リーダー奮闘記」の紹介をUPしていただけました。
@IT情報マネジメント:「人」があってこそのリーダー