林さんの「クラウド・ビジネス入門」読みました!
先日のブロガーミーティングでサイン本をいただいた、林さんの「クラウド・ビジネス入門」読みました。昨年くらいから方々でクラウドの話題は出るのですが、どうも漠然としていて、人によって、あるいは企業によって表現や意味合いが違うこともあり、モヤモヤしていたのですが、この本は林さんの人柄通り、とても親切でしかも分かりやすく、だいぶスッキリできました。
分かりやすく書かれているのを私が解説しても意味がないので、個人的なクラウドに対する感想を書いてみます。
実は私の会社でもゴルフ練習場関連システム事業を中心に行っている特機事業部では、セールスフォースのCRMを使っています。従来、ほとんど何の記録も残さずに、一人一人の個人プレーで営業・サポートをしてきたことに限界を感じ、ナレッジ共有などを目的に使い始めました。システムを購入して社内にサーバを立てて、という運用も考えたようですが、どのくらい使うか分からない点や、まずすぐにやってみたい点などから、クラウドを使ってみるよ、と言うことになったようです。個人的にはクラウドと言うよりSaaSじゃないかなぁ(とくにうちの使い方だと・・・)、とか思ったのですが、まあ、きちんと活用しているみたいです。
個人的には自分でプログラムでも何でも作りたい方なので、クラウド的な考え方より、自分でガリガリ組みたいのですが、そうはいっても何でもかんでも作れるような時間はなく、購入して使っているソフトももちろんたくさんありますし、インターネットでのサービスもたくさん使っています。実は社内で使うようなシステムもいくつか自分たちで作ったりもしたのですが、意外と面倒なのです。特に自分自身が使うものでない場合は。社内だからと要望や仕様はまとめず、勢いで作る感じになりますし、その割に動き始めると、ああだこうだと不満が出てきますし、よっぽど受託開発の仕事の方が楽なのです。使う側も、社内で開発していると思うと改善して欲しいというわがままも多いのですが、既製品として使うシステムだと我慢したり、やり方を工夫したりするものです。
ということで、どうしてもここだけは譲れない、という部分以外は、買い取りでもクラウドでも何でも抵抗はありません。買い取りかクラウドか、という選択でも、一括で払ってしまうか、使用料を払うかという違いが気になるくらいで、バージョンアップや運用・発展性を考えるとクラウドのメリットも大きい感じでしょう。
一方、請負の開発をやっている立場で考えると、この先の開発案件がどうなるのかは多少気になるところです。汎用機からオープン系のサーバ・クライアントシステムになり、さらにWEBしすてむになり、と、システムの形態が変化するとともに、基本的には開発は高い効率や短納期を求められることになり、さらに、ミドルウェアなどの発達により、それほどマニアックなプログラミングスキルが無くても、それなりのシステムをどこでも開発できるようになってオフショア開発なども増えました。クラウドになるとますますコツコツ開発するより、組み合わせのテクニックがポイントになったり、共通化なども進むことでしょう。当然コストダウンも狙ってきます。
いろいろな考え方があって当然なのですが、私個人の考えとしてはやっぱりシステム系の技術者として、クラウドになろうが何だろうが活躍していくためには、技術の差別化やノウハウの蓄積なんじゃないかと考えます。私自身はそういう面も踏まえて今後もますます重要になるネットワークそのものを深くやってきましたし、今後もやりたいことがいろいろあります。アプライアンス製品関連も同様で、今の自分たちの規模では大規模ものは勝ちにくいと思っているので、小回りを活かせる製品を狙っています。私のところにはネットワーク・組み込み関連が得意なチームと、WEBやDBが得意なチームの、2チームがありますが、WEB・DB関連チームは私とはかなり異なる考え方でがんばっているチームですので、それはそれでとても楽しみにしているところです。
IT関連の進化・変化はとても速いのですが、振り回されているようではダメだと思っています。もちろんいろいろな情報を理解しておくのは大切ですが、自分たちならではの分野も忘れずに、業界の変化の中で舵取りをしっかり行っていかねばと言うことを、林さんの著書を読んで一番感じたのでした。