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コミュニティ・イベントの作り方

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ここ4、5年、多くのオープンソースソフトウェアのコミュニティに関わってきましたので、その経験をもとにコミュニティ・イベントの作り方について共有してみたいと思います。
コミュニティ主催のイベントには主に下記の2通りあります。

  • 小規模勉強会(~200人規模)
    過去に運営に関わった勉強会:

  • 大規模イベント(200人規模~)
    過去に運営に関わったイベント:

そして、まさに今運営に関わっているイベントが、 9月2日に渋谷で開催する[「SoftLayer Bluemix Summit 2015」](http://softlayer-bluemix-summit.jp)(1000人規模)になります。クラウド(IaaS、PaaS)でのシステム構築やアプリ開発に興味ある方は、ぜひ足を運んでいただければと思います。 11874781_10204408770610911_917266475_o.jpg それではまず、小規模勉強会について私が関わった実事例をもとに考えてみたいと思います。

小規模勉強会(~200人規模)の作り方

勉強会開催まで(2ヶ月前)

  • 運営委員内でのコミュニケーション
    以前はSkypeやメールで行ってましたが、最近はFacebookで行う事が多いです。運営委員の非公開グループを作成しておき、そこで行います。ある程度決まってくると、各タスクごとにメッセンジャーのスレッドなどを分けてコミュケーションしていきます。
    最近ではSlackを使う場合もあります。
    F2Fのコミュニケーションも必要に応じて行います。小規模勉強会だと開催までに1回集まって話し合う程度でよいでしょう。全てオンラインコミュニケーションでも問題ありません。
    小規模勉強会で使うことはないかもしれませんが、タスク管理サービスとしてbacklogがとても便利です。

  • テーマ
    まず、テーマを決めます。初心者向け、開発者向け、利用者向けなど参加者に沿ったテーマ分けと、ネットワーク、ストレージ、エコシステム、サーバー管理、監視方法など技術カテゴリに沿ったテーマ分けが一般的です。

  • 人数
    ある程度の人数を決めます。20人、50人、100人、150人、200人くらいで決めるといいかと思います。
    集客数は東京だと倍ちかく、地方だと、1.2 ~ 1.5倍といったところでしょうか。東京在住の方は勉強会の参加に慣れている方が多いので、勉強会が開催されることが分かればとりあえず登録し、その後検討し、キャンセル忘れで参加しないというケースが多々ありますので、歩留まりは50%くらいを想定するといいかと思います。

  • 会場
    人数が決まれば、会場探しです。コミュニティメンバや知り合いの会社のセミナールームなどをお借りできれば一番いいでしょう。無料で利用できますので。
    見つからない場合は、無料で利用できるイベントスペースなどを検討します。IT勉強会の会場には数多く会場があります。参考にするといいでしょう。
    それでも見つからない場合は有料のスペースを検討することになります。参加者から1000円程度の参加費を取れば、それなりのスペースが見つかると思います。スペースマーケットにはとてもユニークな会場が登録されています。

  • 時間
    コミュニティの勉強会の多くは、18:00か19:00くらいから始める事が多いです。仕事が終わって駆けつける事を考えると18:30がベストだと思います。また、時間的には勉強会を1.5~2時間程度、懇親会を1時間とるといいでしょう。経験上、東京では、下記のような割り振りが、ベストだと思います。地方では少し早めに設定するか、土日に開催するかがいいでしょう。

    • 18:00 受付開始
    • 18:30 勉強会開始
    • 20:30 懇親会開始
    • 21:30 終了
  • プログラム
    まず、ライトニングトーク大会(5~10分)にするのか、がっつりセッション(15~30分)にするのか、ハンズオン(60分~)をいれるのかを決定します。
    次に、テーマに沿って、より詳細にプログラムを作成します。「●●で▲▲をためしてみた」というネタはとても取り組みやすいかと思います。例えば、「SoftLayerでベアメタルサーバーをつくってみた」「OpenStackでSwiftをためしてみた」「BluemixでRubyアプリを作ってみた」などです。

  • ウェブサイト作成
    Connpass, DoorKeeper, EventDots, ATND等のイベント運営サービスを使うのが一般的で簡単でしょう。それぞれ特徴は、イベント開催・検索サービスまとめを参考にするといいでしょう。
    最近は、Facebookでイベントを作成し、招待、シェアする方法もあります。大抵の場合は、ウェブサイトを別に設けて、本登録はそちらで行う事が多いです。
    ウェブサイトの公開は早すぎても、遅すぎてもだめです。1ヶ月前くらいが丁度いいかと思います。
    参考までに、小規模勉強会では作ることはないかと思いますが、大規模になってくると、独自でウェブサイトを作成する場合もあります。Showtimesthemeforestには、魅力的なWordpressテンプレートがあります。使ったことのあるテーマは、FudgeMiEventです。どちらも得て増えてがありますので、必要な場合はみなさんのイベントにあったテーマを選びましょう。

  • 集客
    Twitter、Facebook等で集客を行うのが一般的でしょう。Facebookでもイベントを作成し、それを友達に招待するといいでしょう。イベントの集客で最も有効なのは、知り合いからの招待です。それがFacebookであれ、メールであれ、口頭であれ、これが最も効果があります。また、プログラムが魅力的でなければ集客は難しいでしょう。まずはプログラムを決定し、興味ある方を集客しましょう。

勉強会当日

  • 当日受付
    コミュニティ主催の勉強会では、コンタクト情報を取らない事多いため、受付を省くことも多々ありますが、下記理由がある場合は受付を行います。

    • 入館登録が必要な会場
    • 懇親会の参加、不参加
      懇親会を行う場合は、名を伏せた形で懇親会を行う場合と、お互いの名前が分かるように名刺などをいれたパスケースをぶら下げて行う場合があります。
  • 司会・タイムキーパー
    何人かの登壇者が入れ替わり立ち代り話をすると思いますので、司会とタイムキーパーを設定する事をお勧めします。
    タイムキープの仕方についても、ストップウオッチで行いますが通知の方法は、iPhoneのプレゼンタイマーなどの音アプリを使う場合と、銅鑼ガール・ボーイなどを頼んでおきぐわぁぁ~んとやらかす方法などがあります。その勉強会の空気を読んで決めましょう。ちなみに銅鑼は入手するのが困難ですが、アイダ楽器には沢山の銅鑼がそろってます。宝来ミニゴングがお手ごろです。

  • ビデオ撮影
    参加できなかった方の為に、ビデオ配信、録画を行う場合もあります。配信を行う場合、以前はUSTREAMが主流でしたが、有償化されたため、現在はYoutube Liveが主流となっています。

    • ビデオ配信: ホームビデオ、三脚、電源タップ、有線ネットワーク、LiveShellなどの配信用機材
    • ビデオ録画: ホームビデオ、三脚、電源タップ
  • SNSによる拡散
    Twitterによる拡散が一般的でしょう。

    • ハッシュタグの設定:
      短めのハッシュタグの設定を行います。ウェブサイトを公開する時に設定しておくといいでしょう。キーボード配列なども考慮し、パッパッ素早くと打てるタグが好ましいでしょう。
    • つぶやき
      公式アカウントでつぶやく場合と、個人のアカウントでつぶやくケースがあります。一長一短がありますので使い分けましょう。 ライブでFacebookを利用して拡散もありでしょう。Facebookでは写真をメインに投稿する事が多いです。
  • 写真
    勉強会の様子を伝える為に写真をとることもお勧めします。写真はFacebookやFlickrなどで後で公開できますし、勉強会のレポートとしてブログやパワポで共有することができます。

  • 懇親会
    勉強会の本番は懇親会といっても過言ではありません。
    一方通行のコミュニケーションを行ったあと、双方向コミュニケーションがこの懇親会で行われます。例えば、ビジネスでの協業話なども行われますし、次回の勉強会での登壇者を発掘する場としても活用しましょう。主催者が全額もつのは、コミュニティ主催の勉強会ではなかなか難しいものです。一般的には参加者からいくらか参加費を払ってもらう事が多いでしょう。

    • 会場内を利用し、缶ビール、ピザ、乾き物ですませるパターン
      参加費も1000円程度ですみますし、より多くの参加者に参加してもらえるので、こちらをお勧めしますが、飲食OKの会場を探すのはなかなか難しいです。
    • 近くの居酒屋で行うパターン
      会場内が利用できない場合、近くの居酒屋で行うことになるでしょう。

勉強会後

  • 登壇者、協力企業へのお礼
    次回からも快く引き受けてもらえるように、懇親会やメールなどでお礼を言っておきましょう。また会場協力や懇親会での協力など様々な方から協力をもらう事が多いでしょう。そういった方へのお礼も忘れずに。
    Twitterのまとめ Toggetterなどを利用し、当日のつぶやきのまとめを行い共有します。色んな方のつぶやきをまとめておくと、参加できなかった方がどのような勉強会だったのか分かります。写真だけをまとめたりする方法もあります。まとめは早ければ早いほど効果があります。当日、翌日には公開しましょう。
  • ブログ
    勉強会終了後、参加者にブログを書いてもらうようにしましょう。
    もちろん主催者のほうでブログを書いて勉強会の様子を共有する事も重要です。より多くの方にブログを書いてもらえると勉強会の様子が良く伝わります。ブログを書くのは早ければ早いほど効果があります。当日、翌日には公開しましょう。
  • 資料の公開
    slideshare等で、資料の公開しましょう。アカウントを持っていない方がいれば、コミュニティでアカウントを作成しておき、そのアカウントで公開してあげましょう。
  • 写真の共有
    勉強会の様子の写真をFacebookで共有するのもいいでしょう。Flickr(https://www.flickr.com/)で公開するのもいいでしょう。
  • まとめサイト
    また、写真やブログ、Slideshareでの資料、Twitterを簡単にまとめてくれるサービスもあります。例えば、有料ですがeventifierはとても便利です。Connpassでも、slideshare, ブログをまとめることができます。

大規模イベント(200人規模~)の作り方

基本的に、小規模勉強会とあまり変わりませんが、200人を超えてくると、まず場所の選定がきつくなってきます。有料の場所を借りて行うことになりますが、200人を超える場所となるとそれなりに高額になります。参加者に参加費を支払ってもらうか、スポンサーを募って運営費に回すかどちらが必要になってくるでしょう。
費用を捻出する場合、口座の開設、費用の管理、スポンサーとのコミュニケーションなどを行う必要が出てきますので、イベント運営会社と選定し、コミュニティ運営委員とイベント運営会社で運営する事になるでしょう。
そうはいっても、テーマを決めて、人数、どういった方に参加してもらいたいかを決めれば、場所、プログラムを決め、ウェブサイトを公開し、集客し、当日運営、イベント後レポートを共有という流れは同じです。
大規模イベントに関しては、また後日書ける時間がとれれば書きたいと思います。


ご意見等あれば、facebook | twitter までお願いします。

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