仕事は覚えちゃいけない。
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学生時代、バーテンダーとしてアルバイトをしていました。
もともと「まかないが美味しそう」という動機でしたが、
まあ、やるからには、とカクテルのレシピを覚えることにしました。
お店に「カクテルブック」という分厚い市販のレシピ本があり、
定番からオリジナルまで、ものすごい数が載っていました。
お店のメニューにも載っていないマニアックなレシピも
(限りなく可能性がゼロに近いけど)いつか注文されたときに
「バーテンさん、よく御存知ですね。さすが。」
って言われたい!というナゾのモチベーションでひたすら覚えました。
そんなある日、バーテン経験の長いベテランの先輩から
「そんなにレシピ覚えたって意味ないよ。やめときな。」
と、唐突に言われました。
「そりゃ、先輩は覚えているからそう言えるんですよ。。」
「いや、僕はそんなに覚えていないんだよ。というか覚えない。
覚えた気になって、間違ったものを出すくらいなら、
ちゃんと確認して正しいものを出したほうが、お客様にはいいよね。
そのための受け答えを身につけたほうが、いいんじゃない。」
やばい。負けた。
乾杯、いや、完敗だ。。。
確かに、先輩は接客の合間によくカクテルブックを確認していました。
単にお客様から言われたカクテルを検索して、というのではなく
「こういう風味がご希望でしたら、こういうのもございますよ。」
とプラスアルファの提案をして、会話を楽しんでいる。
カクテルブックを「カンペ」として使うのではなく、
接客のコミュニケーションツールとして使っている。。
そうだよな、サービス業って、こうだよな。。。
カクテルのレシピは全国共通。
使うお酒の種類や分量は(原則)どこの店でだれに頼んでも同じ。
グラスの中の「成分」という意味では大きな違いはないんです。
むしろ、バーの付加価値は、レシピとは別のところにあります。
お店の雰囲気、接客態度、グラスや氷の仕立て、、、
そういうものがトータルで「味」という感覚的な価値を作っています。
レシピを覚えることは、ムダではないが価値は生まない。
覚えてしまえば、「指定量を混ぜること」は誰でもできる。
だったら、覚えなくても、必要なときにカクテルブックで確認すればいい。
そういう思いを痛烈に感じた、原体験です。
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ビジネスの世界を見ても、まったく同じです。
会社にはルール、決まり事が山のようにあります。
各社ばらばらである分、カクテルよりももっと難解です。
でも、
そのルールを覚えることは、ムダではないが価値は生みません。
覚えてしまえば、「所定の手続き」は誰でもできるもの。
新人さんが「早く仕事を覚えて一人前になります!」とはよく言いますが、
覚えられる程度のことは、覚えてしまえば誰でもできてしまうもの。
だったら、覚えなくても、必要なときに社内マニュアルで確認すればいい。
バーの先輩のように「社内マニュアル」を、うまく活用すればいい。
・・・ですが。
現実には、そんな必要なときにさっと使えるマニュアルなんてほとんどありません。
「あれ、どうやるんだっけ?」
カウンターの中で、あたふた慌てふためくバーテンさんのように、
みんなが、同じ作業を、同じように迷い、同じように間違えながら、
コスト(時間)をかけ、ストレスを蓄積しています。
「マニュアルがあればいいのに。」という理想論と、
「でも、大変すぎるよなー、作るのは面倒だよなー。」という現実論。
この壁を、どうにかぶち壊したいという思いで、
Teachmeというマニュアル作成・共有のクラウドサービスを開発しました。
手前味噌ですが、、、
マニュアル作成や運用にまつわる「面倒なこと」をかたっぱしからつぶすべく
機能開発を行ってきましたので、操作自体は非常に簡単です。
スマホやタブレットに対応しているので、
「困ったときにサッと見る」ということができます。
ほんと、学生時代にバイト先にこれがあればどれだけ助かったか。。
そんなことをいつも思っています。
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もちろん、マニュアルも、ひとつのツール・手段でしかありません。
でも、たかがツール、されどツール。
スマホやタブレットがこれだけ普及した今、
ツール活用の巧拙で、結果は大きく変わってきます。
大げさに言えば「限られた記憶力」を何に使うかも
まるっきり今までとは考え方を変えてもいいかもしれません。
バーテンさんなら、レシピ記憶に溺れず、お店づくりや接客に専念する。
ビジネスマンなら、事務手続きに忙殺されず、商談や商品開発に専念する。
覚えなくてもできるしくみをつくり
覚えることに時間を使わず、
本来やるべき仕事に専念できるようにする!!
そんな社会が実現できればなあ、と思っています。
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