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事業アドバイザーとして活動する以前は、会社の経営者として様々な事業を立ち上げていました。その時代の失敗談、成功談から最近の事業アドバイス事例、改善事例など、事業繁栄のヒントになる実体験を書きます。

設置した瞬間にアンカーが抜けた

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少し前に、トンネルの天井板が落下して、大事故が起ったニュースがありました。

その原因は、トンネルの上部に打ち込まれたボルトが抜けたことのようです。

そのニュースの解説を見ていて、昔の話を思い出しました。

私が次々に事業を拡大していた当時は、やったことがない仕事の連発でした。

見たことがあるものの、実際にはやったことがない仕事でも、「経験があります」と言ってやってきました。

今回は、そんな感覚でやって、背筋が凍りかけた話です。

コンクリート製品を吊る時には、製造時に「アンカー」を埋め込みます。

ねじのメス側ということです。
(他にもいろんな種類がありますが、今回はアンカーに限定します)

そのアンカーに吊り金具を付けて、ワイヤーで製品を吊ることになります。

生コンを打ち込む時は、型枠に強力な振動を加えますので、その振動でアンカーが抜けてコンクリートに埋まってしまうことがあります。

そうなると、製品が吊れませんので、「アンカーボルト」や「アンカープラグ」を打ち込むことになります。

ハンマードリルでコンクリートに穴を開けて、細長いガラス瓶に接着剤が入った「ケミカル」を入れ、そしてアンカーを打ち込みます。

インパクトドライバーで打ち込ますので、薬剤が混合されて、コンクリートとボルトが接着されることになります。

その作業はやったことがなかったのですが、接着剤を混ぜたら引っ付くことは知っていましたので、混ぜれば良いと思っていました。

その日のアンカー補修作業は、インパクトドライバーで打ち込むタイプではなく、穴に入れてハンマーで叩くタイプでした。

このアンカーはケミカル不要で、叩くだけで「くさび」が広がって固定されます。

でも、ケミカルを入れた方がより強固になるだろうということで、ケミカルの瓶を割って薬剤を混ぜて穴に入れ、アンカーを入れて打ち込みました。

そして、強固なアンカーとなって、クレーンで吊り出され、出荷されたのです。

後日、現場担当者から「製品を設置したらアンカーが抜けた」と言われ、抜けたアンカーを見せてもらったところ、ネバネバしていました。

どうやら薬剤が混ざっていなくて、ネバネバが逆に滑りやすい状態になっていて、設置した瞬間に抜けてしまったようです。

「設置した瞬間に抜けるようにしてあったんですわ!まあ、予定通りですわ!ガハハハ!」

「なるほど~。まあ問題なかったので良しとしましょう!」

たまたま、経験が浅い担当者でしたので、こんな会話ですみましたが、話を聞いた瞬間は背筋が凍りました。

設置してから抜けたので良かったものの、吊っている途中で抜けたら、えらいことになっていたかも知れません。

安全率を見込んでいますので、ワイヤー一本でも吊ることはできますが、バランスを崩した瞬間に荷重がかかって、他のアンカーが抜ける可能性もあります。

結果的に何も起こらず、問題にもならなかったのですが、とても重要な問題と受け止め、この先にはありませんでした。

当たり前の話ですが、何でもかんでも見よう見まねでいいというわけではありません。

今だから言える話ですが、ちょっと前まで素人だったのが、いきなり重要な部分の施工をしていたのでした。

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