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高校卒業直後にアメリカの全寮制高校に飛びこみ、文化、言語、価値観、人間関係、そして勉強で七転八倒しつつ適応していった、5年間の留学生活から学んだレッスンを、具体的エピソードを交えて紹介。

マクドナルドで "フライドポテト" が通じない

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陸の孤島である高校に住みはじめて気がついたのが、「そういえば、みんな買い物とかどうしているんだろう?」ということでした。最低限の荷物だけで来てしまった私は、手袋もジャンパーもなく、薄着で凍えながら生活をしておりました。そこで、学校の先生に相談すると、

「月に1回、お買い物デーがあるから、そのとき買いなさい」

と言われました。


お買い物デーとは、寮に住む生徒が先生の運転するスクールバスで、近場の町のショッピングセンター(といっても片道60kmありますが)まで連れていってもらい、数時間を自由に過ごせるという月に1回だけ用意された、すべての寮生が待ちわびる特別な日なのです。

この日は、衣類や日用品を仕入れたり、めったに食べられない外食を楽しんだりと自由に行動ができます。寮生らは現地に到着するやいなや、1分もムダにすまいと全速力でお店にダッシュしていきます。ふだん陸の孤島に閉じこめられていると、何の変哲もない田舎町のKマート(総合スーパー)やサーキットシティ(家電量販店)でさえ、とても新鮮な風景に見えてくるので不思議です。私はいろいろ衣類をそろえねばならなかったので、単独行動することにしました。


初めて見るサンドイッチチェーンのサブウェイに「なぜに地下鉄が!?」とか、ドラッグストアと書かれたネオンに「アッチ系のお薬を白昼堂々と販売!?」とか勘違いをしながら買い物を済ませると、おなじみのマクドナルドの看板が見えました。

寮の食事にヘキエキしていた私は、「この日を逃したら、ハンバーガーは1ヶ月後になってしまうっ」と迷わず入店。ということで、本場アメリカでの初マクドナルドです。

で、ハンバーガーとフライドポテトを注文したのですが、なぜか"フライドポテト"が通じません。最初は自分の発音が悪いのかと思い、大声で「ワン、フライドポテートー!フ・ラ・イ・ド・ポテートォー!」と繰り返しました。

しかし、太った黒人の女性店員は、


「は?オメェなに言ってんの、バカじゃね?」


と100%見下した態度で動こうとしません。理解する努力さえ見せてくれません。後ろで待っていたお客が痺れを切らして、「それはフレンチフライのことだな」と助け船を出してくれて、ようやくそれが正式名称だとわかったのですが、それにしても店員の不親切さには怒りを通り越して呆れました。


しかも店員は謝るそぶりもなく、

「なんだ、フレンチフライかよ・・、最初からそう言えっつうんだ、ホラよ」

といった態度で商品を渡してきました。スマイル0円のマクドナルドで、こんなアウェー感を味わわされるとは・・(笑)

マクドナルドのメニューの中で、じゃがいもを揚げた食品がアレ以外にあるか、どんだけ気が利かんのだって話でした。(ハッシュドポテトもあるではないかというツッコミはさておき)



18歳にもなって、月イチのファストフードとKマートでの買い出しが楽しみって、つくづく質素だったなぁと今では思いますが、当時の私にはゆっくり羽が伸ばせる大切なオフタイムだったのでした。


つづく



代表 中山順司
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