お客様を愛していますか?それとも案件を愛していますか?
相手があなたを必要としている時、その必要にしっかりと応えていれば、仕事の心配をする必要はない。しかし、相手がいつまでも、あなたを必要としているだろうか。事実、こんなことがあった。
「RFPが出たので、いつものように、いつもの単金で、お客様が信頼しているエンジニアをつけることで提案したのですが、失注してしまいました。」
その原因を担当の営業に尋ねてみると、「どうもうちより安い単金を出した会社があったらしく、そちらが受注したようです。」とのこと。この話を聞いて、なんとのんきな営業だろうかとあきれてしまった。
この営業は、RFPが出て初めて案件の存在を知ったという。決して最近つきあい始めたばかりのお客様ではない。担当者や責任者とは懇意だと自慢もしていた。しかし、あらたなプロジェクトについての検討が行なわれていることすら気づいていなかったのだ。
RFPが出ると言うことは、もはや仕事の内容が決まっている。当然、お客様は競合を前提に、声を掛けてくる。もし、本当にこの営業と懇意にしているのなら、RFPを作る前に、その営業に相談したはずだ。それがないと言うことは、この営業はお客様から見れば、単なるone of themだと言うことだ。懇意なんて、とんでもない。
one of themとなった以上、もはや競合が前提となる。当然競合他社も必死のはず。そんな状況の中で、今までうまくいっていたから今度も同じようにゆくはずだと思っていたとしたら、なんとも残念な話しだ。
相手があなたを必要としている時は、それにしっかりと応えてさえいれば、仕事は確実に回ってくる。しかし、変化が常の世の中であり、お客様の事業環境が変わり、ビジネス戦略が変わるのは必然。当然、お客様の発注や意思決定の基準も変わる。それに気づかなかったとすれば、それは「お客様を愛していなかった」ことの証明だと自覚すべきだろう。
お客様の「困った」をなんとかしたい、お客様の「して欲しい」をかなえてあげたい。お客様の成功をなんとしてでも支えたい。そういうお客様への愛情があれば、お客様のことを徹底的に理解しようと思うのではないか。お客様のやっている仕事、お客様の競合の動き、お客様の置かれている経営環境、お客様の担当者や経営者の悩み、彼らの事業戦略などを知りたいと思うだろう。
大好きな彼女のことを何でも知っておきたい。そう思うのと一緒だ。彼女が幸せになり、喜ぶところをみたいと思うだろう。そのためには、何でもしたいと思うのではないか。少々押しつけがましくても、それが愛していると言うことだ。
件の営業は、私に言わせれば、お客様を愛していたのではなく、案件を愛していたのだ。だから案件をなんとしてでも取ろうと必死になっていた。お客様にはきっと、その「程度の愛情」が見えていたのかもしれない。
営業がお客様を愛していれば、お客様もその営業に早い段階から相談し、案件を作ることからお手伝いできていたかもしれない。RFPを作ることを任されたかもしれない。だからといって100%確実にとれるという保証はないにしても確度は確実に高まっただろう。なによりも常に相談される相手になってさえいれば、仕事のチャンスは確実に増える。
あなたは本当にお客様を愛しているだろうか?それとも案件を愛しているのだろうか?
もし、いつも案件が決定してから相談されるような状況であるとすれば、あなたの愛情は、きっと案件への愛情止まり。お客様もその程度しか、あなたを必要としていないとうことだ。
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