長年の経験を土台に個人事業主として次のステージを模索されている方へ:こうすれば失敗する3つの原則
「数千人の登録者がいるのですが、顧問としてうまくご活躍いだいている人は、数パーセントに過ぎません。」
長年勤め上げた企業を卒業し、自らの経験を活かして企業の顧問になりたいという人たちを紹介している企業の方からそんな話を伺い、自分自身の昔を思い出してしまった。
1995年、営業として13年勤めた日本IBMを退職し、その経験を活かしてコンサルや講師として仕事をしていこうと考えていた。当時は、顧問を斡旋してくれるような気の利いたところはなく、持ち前の営業力でいろいろな人と会い、自分の経験やスキルをアピールしたが、なかなか仕事にならなかった。
日本IBM時代、私は、毎年営業目標を達成した営業をたたえるハンドレッド・パーセントクラブの常連であり、特に優秀な営業成績を達成した者に与えられるゴールデン・サークルにも2回参加することができた。その経験を持ってすれば、コンサルや講師の仕事など容易に見つかるだろうと高をくくっていたのだ。しかし、その思惑は見事に外れてしまった。
少々焦っていた。このままでは食べてゆくことは難しい。そこで、なぜうまくいかないのだろう、どうすればいいのだろうと、改めて考えてみた。仕事がないので、考える時間はいくらでもあった。そこで気付いたことは、次の3つのことだった。
まずひとつは、自分の実力だと思っていたことは、「日本IBMという看板」の実力だったということだ。自分の実力などと勝手に思い込み、実は日本IBMの製品や組織、またそのブランドによって、お客様は買ってくれていたことに気付いていなかった。その看板が外れ、その一切を失ったにもかかわらず、「自分の経験」という自分にしか分からないローカルな価値を、たいそうにも社会的な価値だと勘違いして、売り込んでいた。そんなものが売れるはずはない。当然、仕事にはならない。
ふたつ目は、「営業力」で何とか仕事をもぎ取ってくることができるという過信だ。営業の成績が良かったからといって、それは必ずしも自分だけの実力ではないことは述べたとおりだが、相手を巻き込みその気にさせる営業としての才覚はあると思っていた。しかし、仮にそうであったとしても自分の「商品」がないのだから、相手も買いようがない。「こんなことをやって来たのだから、こんなことができます。」と語っても、所詮自分の価値基準の評価にすぎない。自分は凄いことだと思っていても、お客様にとっての価値ではないし、それが自分たちにどのように役に立つのかも具体的にイメージできない。例え、相手が自分に好意を感じてくれても「じゃあ、あんたからなにを買えばいいんだよ?」ということになるので、仕事にはならない。
三つ目は、自分を売り込もうとしていたことだ。独立して、焦っていたこともあるが、自分の名前や会社の知名度を上げようと躍起になっていた。しかし、相手にとって、そんなことはどうでもいいことだ。自分にとって役に立つかどうかであり、私がどうなろうと知ったことではない。
例えば、お客様がある企業に提案する企画資料を作ったとき、そこに自分の会社名を入れて持って行ったことがある。相手は、これを外すように言われたが、私は自分を売り込みたいので抵抗した。それ以来、この方からのご依頼は無くなった。
考えてみれば当たりまえのことだ。自分のために私に依頼したのに、なぜ私の名前や会社名を出さなければならないのか。見方を変えれば、自分たちに能力が無いから外注したと言っているようなものだ。もちろん、私が既に「超有名人」であれば、それはそれで箔がつくだろう。しかし、無名の私がそんなことをする道理はない。
そんなことを考え、自分のスタイルを変えることにした。まず、自分ができることを棚卸しし、それが相手にとってどのような価値になるかを意識して話すようにした。また、黒子に徹することにした。「あなたのスタッフとして、あなたが成果をあげられるようなアウトプットを提供します」と宣言したのだ。もちろん、自分の名前や会社のことなど、一切表に出ないしその気配すら消してしまう。相手の会社で使う用語や表現を意識して、相手の普段使っているフォーマットに合わせて資料を作る。そんなことを意識し続けた。
徐々に仕事が増え、結果として、自分もすこしだけ知られる存在になっていった。自分ができることを自分の評価で説明し、自分を有名にしたいので「自分」を売り込んでも成果をあげられなかったのに、何とも皮肉な話しだ。
会社人として長年の経験を積まれ、それを土台に個人事業主として次のステージを模索されている方もいるだろう。ぜひ、私のような轍を踏まないでもらいたい。
では、どうすれば、自分のこれまでの経験を価値ある商品に変えることができるのだろうか。それについては、明日のブログで紹介しよう。
【受付開始】ITソリューション塾・東京/大阪/福岡
「IoTやAIで何かできないのか?」
「アジャイル開発やDevOpsでどんなビジネスができるのか?」
「うちの新規事業は、なぜなかなか成果を上げられないのか?」
あなたは、この問いかけに応えられるでしょうか。
「生産性向上やコスト削減」から、「差別化の武器としてビジネスの成果に貢献」することへとITは役割の重心を移しつつあります。そうなれば、相手にするお客様は変わり、お客様との関係が変わり、提案の方法も変わります。そんな時代の変化に向き合うためのお手伝いをしたいと思っています。
東京での開催は5月16日(火)からに決まりました。また、大阪では5月22日(月)からとなります。さらに福岡は7月11日(火)からを予定しています。
詳細日程や正式なお申し込みにつきましては、こちらをご覧下さい。
ITソリューション塾では、IoTやAI、クラウドといったテクノロジーの最前線を整理してお伝えすることはもちろんのこと、ビジネスの実践につなげるための方法についても、これまでにも増して充実させてゆきます。
また、アジャイル開発やDevOps、それを支えるテクノロジーは、もはや避けて通れない現実です。その基本をしっかりとお伝えするよていです。また、IoTやモバイルの時代となり、サイバー・セキュリティはこれまでのやり方では対応できません。改めてセキュリティの原理原則に立ち返り、どのような考え方や取り組みが必要なのか、やはりこの分野の第一人者にご講義頂く予定です。
2009年から今年で8年目となる「ITソリューション塾」ですが、
「自社製品のことは説明できても世の中の常識は分からない」
当時、SI事業者やITベンダーの人材育成や事業開発のコンサルティングに関わる中、このような人たちが少なくないことに憂いを感じていました。また、自分たちの製品やサービスの機能や性能を説明できても、お客様の経営や事業のどのような課題を解決してくれるのかを説明できないのままに、成果をあげられない営業の方たちも数多くみてきました。
このようなことでは、SI事業者やITベンダーはいつまで経っても「業者」に留まり、お客様のよき相談相手にはなれません。この状況を少しでも変えてゆきたいと始めたのがきっかけで、既に1500名を超える皆さんが卒業されています。
ITのキーワードを辞書のように知っているだけでは使いもものにはなりません。お客様のビジネスや自社の戦略に結びつけてゆくためには、テクノロジーのトレンドを大きな物語や地図として捉えることです。そういう物語や地図の中に、自分たちのビジネスを位置付けてみることで、自分たちの価値や弱点が見えてきます。そして、お客様に説得力ある言葉を語れるようになるのだと思います。
ITソリューション塾は、その地図や物語をお伝えすることが目的です。
ご参加をご検討頂ければと願っております。
最新版(4月度)をリリースしました!
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
新入社員のための「最新トレンドの教科書」も掲載しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108
開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40
インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158
IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52
人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22
テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17
サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません
ビジネス戦略(110ページ)
*変更はありません
ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
*変更はありません
【新入社員研修】最新のITトレンド
*2017年度版に改訂しました
【講演資料】アウトプットし続ける技術〜毎日書くためのマインドセットとスキルセット
女性のための勉強会での講演資料
実施日: 2017年3月14日
実施時間: 60分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
実施日: 2017年3月27日
実施時間: 30分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
詳しくはこちらから
新刊書籍のご紹介
未来を味方にする技術
これからのビジネスを創るITの基礎の基礎
- ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
- ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
- お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
斎藤昌義 著
四六判/264ページ
定価(本体1,580円+税)
ISBN 978-4-7741-8647-4Amazonで購入
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。