大丈夫ですか？残念な５つのプレゼンテーション

ケース1：ビジーなチャート

「よくこれだけの文字を詰め込むことができたなぁ」

見事と言うほかないビジーなチャートだ。彼は、これを投影しながら書かれた文字を読み上げる。しかし、文字が小さいこと、そして、いろいろなところに散らばって書かれているので、どこを話しているのか分からない。やっと話している場所を見つけ、ささやかな達成感を味わうのもつかの間、次のページに切り替えてしまった。私は、文字を探すことに集中してしまい、彼が何を話したのかよく覚えていない。

ケース2：他人の言葉

別の人が作ったプレゼンテーテーションなのだろう。かれは、そこで説明されている内容をよく知らないのだろうか。とにかく書かれている内容をそのまま読み上げている。うつむき加減に抑揚もなくパソコンの画面とにらめっこしながら蕩々と語っている。時々聴衆に目を向けるが、水泳の息継ぎのようなモノでまた水面に顔を沈めてしまう。幸いにもプレゼンテーションで使われている資料が印刷配布されていたので、そちらに目を通した。なかなかよくできた資料ですぐにどういう内容か理解できた。しかし、彼のスピーチはまだ三分の一も終わっていない。

ケース3：オーバー・パフォーマンス

パフォーマンスが過ぎるのも疲れる。ハイテンションすぎてぎこちない。投影されているチャートの内容とは無関係なこともいろいろと語り、自分で自分を盛り上げている。無理して「頑張っている」のがよく分かって実に痛々しい。しかし、彼はこのチャートで何を伝えたいのだろうか。枝葉が多すぎて幹が隠れて見えない。結局、彼の方向違いのエネルギーについてゆくことができないままに、なんだか疲れてしまった。彼もまたへとへとだろう。

ケース4：戸田奈津子

１枚のスライドにどーんと大きく数文字が描かれている。どのページもそんな調子だ。そして、ものすごい勢いでスライドを切り替えてゆく。話している内容のエッセンスを簡潔に文字にしているようだ。戸田奈津子の映画字幕みたいだ。しかし、心に残らない。内容に関係する図もなければ画像もない。かれはそんなプレゼンテーションをかっこいいと思っているのかもしれないが、結局は場を盛り上げるパフォーマンスでしかない。それが目的であるのだろうか。結局は、自己満足のためのカラオケで、聴衆の期待を裏切っていることには気付いていないようだった。

ケース5：カラオケ

流れるように蕩々と語るプレゼンテーションは整然としている。資料と語りは見事に一致している。言葉の抑揚も身振りも実に美しい。しかし、心に響かない。それは、聴衆を見ていない、対話していないからだ。自分の世界に酔いしれるためのカラオケに過ぎない。本当のカラオケなら自分の順番もあるからお互い様で我慢もできるが、プレゼンテーションは一方的だ。結局、彼のカラオケに付き合わされただけでなんともすっきりしない。

プレゼンテーションとはこちらの伝えたいことを伝えることではなく、相手の心を動かし、行動を起こさせるきっかけを作ること。

もし情報を伝えるだけなら、なぜ目の前に人を集める必要はありません。印刷物でもWebでも同じです。目の前にいる相手と対話しながら、心に入ってゆく行為です。対話と言ってもディスカッションをしようというわけではありません。聞いている相手の反応を見ながら、その変化に合わせて言葉のペースや抑揚を変化させてゆくことであり、質問を投げかけ考えさせるなどのことです。

では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。明日詳しく紹介します。

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