「IT営業はコンサルティング能力を持たなくてはいけない」ではどうやってその能力を身につければ良いのか
「IT営業がコンサルティング能力を持たなくてはいけないことは分かりましたが、どうすればそのような能力を身につけることができるのでしょうか?」
営業研修でこのようなご質問を頂くことがあるのですが、「こうすればいい」と簡単に答えられるものでもありません。コンサルティング能力とは、業務知識や技術知識がなくてはならないし、問題を整理し解決策を見つけ出し、お客様へのわかりやすい説明や交渉力もできなくてはなりません。そういう総合的な能力があってコンサルティングは可能になるのです。
ただ、このような一般論を申し上げても、場がしらけてしまうだけのことです。そこで、次のように答えるようにしています。
「ご自身が担当しているお客様の経営や業務について、徹底して理解を深めることです。お客様の経営状況や業務の内容、そこにどのような課題を抱え、何をしたいと考えているか。また、そのお客様を取り巻く業界や社会環境もあるでしょう。」
お客様の経営や業務の価値を高めるためることが、コンサルタントの役割です。何がお客様にとっての価値なのかを知らなくてはなりません。そのためには、お客様をお客様以上に考察し、理解しようと努力することが必要なことは言うまでもないことです。
しかし、これはコンサルティング能力を云々する以前の話として、営業活動の基本でもあります。
「営業の仕事は、商品やサービスを提供してお金をもらう仕事ではありません。お客様の価値を高めその価値の一部を報酬として受け取る仕事であり、商品やサービスはその手段に過ぎません。」
営業研修の冒頭でこのようなことをお伝えしているのですが、そのためには、お客様が必要としている価値を明確にする必要があり、そのためにはお客様を徹底して理解しなければなりません。
しかし、現実には、手段であるはずの商品やサービスを提供することが目的となり、それを提供することに専念するあまり、お客様の仕事がとのように変わり、どのような価値を享受できるかに考えが及ばない営業も少なくありません。
「貴方の提案するシステムはお客様のどのような業務使われるのでしょうか。対象となる業務プロセスとその前工程と後工程も含め、そのシステムが使われる業務全体のプロセスを描いて下さい。」
こんな課題を営業研修のワークショップで提示することがあります。自分の提案するシステムについての業務プロセスは描けても、それを含む業務全体のプロセスを知らない人がとても多いのです。例えば、そのシステムによって特定の業務プロセスが良くなっても、そこへの入力に余計な手間がかかり、出力も加工しなければ後工程では使えないのであれば、お客様の価値はプラスマイナス・ゼロになりかねません。むしろ全体の効率を下げてしまうかもしれません。
また、手段は目的のためにありますから、その目的を達成するためにもっと良い手段があるかも知れません。それは、貴方の提案するシステムを使うことではなく、業務の手順を変えることかも知れません。
お客様は目的を達成するための最も合理的な手段を求めています。そういうことを冷静に俯瞰し、お客様に最適な選択肢を提示できることこそ、お客様の信頼を得る最良のやり方と言えるでしょう。こういう視点を持つためにも「お客様を徹底して理解すること」が必要なのです。
コンサルティングができるようになるためには、いろいろな知識を身につけなければなりません。また、問題を整理し解決するためのメソドロジーも学ばねばなりません。しかし、それらは全て「お客様の価値を高める」ために必要な能力であると自覚できれば、それを身につけようという意欲も生まれ、適切な勉強の方法や習慣も身についてくるでしょう。
手段だけを学んでもコンサルティング能力が高まるわけではありません。営業という仕事の基本である「お客様を徹底して理解する」ことに忠実であろうとすれば、コンサルティング能力は、自ずと身についてくるのです。
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【ビジネス編】(67ページ)
- 新たに「SIビジネスの現場や課題」の章を立て、8枚のチャートを追加しました。
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目次
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- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン