Air B&B日本展開への壁
この夏を盛り上げたリオオリンピックでも、Air bnbが大活躍して、かなりの数の旅行客の宿泊の受け皿になったと言われています。ところが、この民泊、日本で合法にビジネスとして行うのは、現時点でかなり大変になってきています。
今年の前半までは、民泊の適法性はグレーゾーンで、宿泊需要に対応するためにお国も目をつぶっていると楽天的に考える人が多かったのですが、「民泊条例」 による「民泊特区」、「民泊新法」に向けての規制改革の閣議決定(施行は来年予定)、などなど、国の制度としての方向性が固まってきたので、もぐりの民泊は全て違法と判断さ れることになりました。この方向を受けて、ついに東京都でも許可を得ずに民泊を運営していた業者が摘発されました。浅草近くで「民泊」 無許可営業 容疑の業者を書類送検 警視庁
合法に民泊を行うには、「民泊特区」もしくは「旅館業法」で許可を取得するしかありません。今のところ、民泊特区ができる場所は限られていますので、「旅館業法」でに沿った許可が必要となります。
ところが、「旅館業法」は、下記のような厳しい規制があります。
1. ホテル、旅館としての許認可
ホテルは最低10室以上、旅館は最低5室以上なので、普通の方はほぼ無理です。
2. 簡易宿泊所
もともと、山小屋などのユースケースを想定しているので、ゲストハウスのように1部屋に知らない人通しが宿泊できなければいけません。つまり、1部屋を1グループに貸し出すことは認められていないのです。
これらに加えて、フロントの設置、宿泊名簿の記帳など、細かな義務が発生します。
ということで、世界的には多くのユーザを抱えていて、株式上場すれば相当な時価総額が見込まれているAir B&Bも、Uberと同様に日本市場での展開には苦戦しています。ただ、New Yorkでも30日以下の民泊は禁止する法案が通ったりしていますので、周辺住民や安全面の配慮などを考慮した法整備が必要なことも事実です。
今回の国会では民泊新法の提出は見送られました(民泊新法、調整難航で臨時国会提出を見送りへ)が、来年に向けて、民泊新法の施行、それに合わせて旅館業法の改正なども、検討されているので、リーズナブルに法律が整備されることを期待したいです。