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盛り上がるブレストばかりが良いブレストじゃない。沈黙も含めて大事にしたい。(アイデア・デザイン・創造学を研究しているといろんなTipsに触れます。600文字で紹介します。)

人は、自分の出したアイデアに高い価値を感じる傾向がある

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アイデアワークのサポートをしていて、気がついた
人が持つ一つの傾向があります。

それは
「人は、自分の出したアイデアに高い価値を感じる傾向がある。」
というものです。

これを、学術的に証明するのは難しいですが、
それらが、なんとなく感じられる、
ご紹介したい、2つの事例があります。


【事例1】

筆者はある中小企業さんによばれて、ブレストのメンバーとして
アイデア出しに参画しました。
はじめの5分で、私はある「A」というアイデアを出しました。
実現性もあり、新規性と有用性も高い案でした。

これは、いけるだろう、と内心おもいつつ、提示すると
メンバーからは気の無い相槌。
"あれ、だめだったか。まあ、組織的背景もかんがみて、良いアイデアは違うから"
とおもいアイデアだしを続けました。

さて、1時間が過ぎようという頃、彼らは、次のステップに進めるための
良いアイデア「B」を獲得しました。
彼らはそれが、とてもよい案であると確信を持ちました、私も同感でした。

その帰り道、私は、考えていました。
Bという案は、私が冒頭5分でだしたAというアイデアと、
本質的にはほぼ等しいもの、であったことについて。

そして、この事例から、私が見出した示唆は、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 AとBという2つのアイデアがある。
客観的には、内容はどちらも同じようなものではあるけれど、
自分たちが出した案(B)の方が、ずっと価値が高いもののように感じる
という傾向が人にはある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
というもの、でした。

さまざまなアイデアワークに参画していると、
これに類することは、よく目にします。

このブログを呼んでくださっている方の中でも、
アイデア会議のなかで、似たことを経験されたこと、ありせんか。
特に「あ、なんだよ、それ、さっき俺が言ったじゃん・・・」という経験。

人間には、そういうところがあります。
それを「なんだよー」と思う代わりに、積極的に活用することで、
ある種の面白いアイデアの発展をもらすこともできます。

そこで、事例2、です。


【事例2】

筆者の特殊なアイデア創出の支援の方法で
コピーロボット・ブレインストーミング」と内心呼んでいる方法があります。

これは、中小企業の社長さんに呼ばれて「石井君、ブレストの相手になってくれ」
といわれるとき、実施する方法です。

まず、直球なやり方をしてみると、
腕一つで経営してきた豪傑な社長さんだと、
結構、即否定が出ます。

アイデアを出しはじめると、
「いや、それは無理だ」「それは10年前にも考えてたな」
と、いうコメントが社長さんから。

私は内心
""うう、、、、いま、ブレスト・・・?ですよね。"
と思うわけですが、そういう場合に次のようなやり方をします。

割と、ノウハウなのですが、書きます。
克明に書きますので、長くなりますがご容赦ください。

1:模造紙を机に敷き、社長さんのアイデアをひたすら、机上に落としていく。

 このときに、「アイデアが未成熟な段階のもであっても、
 論理的に説明ができないものでも結構ですよ。
 これまでに思いついていたこと、試したこと、アイデア以外でも
 考えていることがあれば全部お話してください。私は全て受けて、
 机上にそれを落としていきますので」
 と、伝えて机に書いていきます。

 アイデアは、マインドマップ(※)で書くことをお勧めします。
 そうでなくても結構です。

 大体、出尽くすところまで来るのに、1時間から90分ぐらいかかります。
 
 人によっては、「おお、自分のやりたいこと、考えたいことがわかったわ。
 このシートをくれないか。後は考えるから。」と、吐き出したことで考えが進み、
 ブレストをしないで、終わりにすることもあります。

 そういう時、人は、早く考えたい状態なので、
 余計なことを言いません。さっと引き上げます。

2:出尽くしたら、机上にあるアイデアを再構成して、アイデアを発言する。

 「今度は、私もブレストに参加します。ただし、社長のおっしゃった
 アイデアをバラバラにしてそれを組み合わせてアイデアを言います。
 自分とブレストをするとおもって、続けてください」
 といいます。

 すると、次第に、彼は、先ほどまでよりも、先に進めるようになります。
 彼は「おお、それはいい案だ」「おっ、面白い」とかなり肯定的。
 冒頭の即否定とは大分違います。

 時には、「俺は相当にアイデアマンだと自負しているけど、
 自分と同じぐらいの人に始めてあったわ」
 というコメントをいただいたりもします。

 その時、筆者は、ほとんど、新しいアイデアを出していません。
 相手のアイデアを要素に分解して
 一定の文脈に載せて、再構成しているだけです。

 文脈部分には、私の意思が多少のりますが、
 表現するフレーズや、単語などは、社長さんの頭の中にあったもの。

 彼は、一人で出していたときよりも、一段高いものが
 出るようになっていきます。

 自分自身を模擬してくれる相手とブレストすることは、
 すこし特殊な体験であり、多くの場合において、一定以上の効果があります。
 (もちろん、これがうまくいかない場合もあります。念のため。)

この社長さんは、自分のだしたアイデア
(━それは、価値観にあっていて、自分にとってファミリアなものですが━)
を再構成して、タイミングよく提示されたことで、
"面白いアイデアだなー"と感じたようです。

自分の出したアイデアに高い価値を感じる、という傾向を、
ブレストの促進要因として利用して、
彼が、その上にさらにアイデアを積み上げていける、ことを狙って
展開しています。



以上、です。


この、自分のアイデアには高い価値性を感じる傾向、というものを
知っておくと、ブレストを促進するための工夫がいくつも思い浮かびます。

ぜひ、このブログをお読みなった方で、
良いアイデアがあれば「コメント」をお寄せください。
あるいは、ツイッターで、@ishii_rikieまで、お知らせください。

別の日に、貴重なご意見として、引用、紹介させていただきます。



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~ところで、リアルタイムの読者さんへ~

そろそろ、GWですね。
筆者は、3日ほど休みます。
仕事中はツイッターをしていますので、
これまでのブログ記事で、分かりにくいところ
自分は違ってこうしているよ、というコメントなど
ぜひ、お寄せください。

よんで、つぶやけば、相手もつぶやく。
そういう距離感の時代に、成りつつありますね。

いずれツイッターも原始的な道具だったという時代も来るでしょう。
でもそれまでは、ツイッターという道具で、今を楽しんでみてもいいかな、と
最近筆者は思うのです。

                                    石井力重

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