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成田スカイアクセスの目についた改善点。新型AEはダメな子じゃないよ。出来る子なんだよ

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今日19日(月)からアトランタ出張(経緯はコチラ)なのだが、新しもの好きとしては
17日開業の成田スカイアクセスに乗ってみたくてたまらなかったので乗ってみた感想。

Skyaccess01

(日暮里駅で入線時の写真を撮ったのだがタイミングずれて没につき画像拝借)

整理できてないが改善して欲しい順。

■日暮里駅

どうしようもないのかもしれないが…遠い。日暮里は渋谷から見て山手線の対極。
せめて千代田線が西日暮里ではなく日暮里にとまってくれればよかったのだが、
東京の左下から、スーツケースを引きずりつつ、うまいこと日暮里に出られる手段がない。

スカイアクセス開業に向けて一生懸命日暮里駅のハード面だけは改修したのかも
しれないが、ユーザーエクスペリエンスを全体で捉えられていない気がしてならない。
日暮里駅だけをきれいにしたところで、利用者はがんばって日暮里までこなければ
ならないので、その前の利便性や満足度をもう少し考えるべきだと思う。

例えば、私を含む渋谷を起点とする各路線からの利用者のことを考えてみよう。
普通に考えれば水天宮前からリムジンバスか、東京駅まで地下鉄乗り継いでNEXが妥当。
このセグメントをターゲットにするならば、新橋駅のJR乗り換え改善に、京成電鉄が投資を
してもおかしくないと思われる。エスカレーターやエレベーターを設置することで、
渋谷→新橋→日暮里の乗り継ぎが便利になれば不満はだいぶ解消されると思われる。

あるいは、京成上野駅のアクセス改善でも良いかもしれない。JR組は日暮里で十分だろう
から地下鉄組を重視して、銀座線の上野駅から京成上野駅に行きやすい地下通路を
整備できればこれも有効な解決策になるだろう。

打ち手は様々。ただ、問題なのは京成電鉄側が、スカイアクセスの利用者層として、
これまでのスカイライナーロイヤルユーザーだけでなくNEXやリムジンバス組を狙うなら、
きちんとマーケティング調査をしたかどうか、疑問である。新型車両のみならず、
新たに線路を作ってまで投資をしたからには、シェア奪還は至上命題だろうに、他の経路に
流れる人々が本当に買っている「価値」を十分理解していないのではなかろうか。

速達性は確かに強力な武器ではあるのだが、まだまだ脇が甘い気がしてならない。

■予約サイト

スカイライナーはネットで予約が出来る。素晴らしい!ただし、ガラケー所有者に限る。

旅行客だけでなくビジネス層のことを考えるなら、スマートフォンにもきちんと対応すべき
だろうに、この仕様は謎すぎる。なぜガラケーのメールアドレス認証が必要なのだろうか。

こちらのサイトから予約を仕様とすると、まずユーザー登録を求められる。ごもっとも。
ただし、このメールアドレスのバリデーションが謎。何故ここでi.softbank.jpをはじくのか…。
スマートフォンユーザーかつ成田スカイアクセス利用者の集合の多くがビジネスユーザー
であれば、多少文字化けしようが、操作性に難があろうが、解決できるのではなかろうか。
それを登録時点ではなから排除してしまう仕様は誰得?なのか、理解しがたい。

ビジネスユーザーならiPhone以外もあるだろ!とのご指摘ごもっとも。
そう、私もiPhone以外の端末を持っている。Windows Mobile6.5搭載のdocomo T01A。
メールはExchange経由でしか使わない。

もったいないのは、この先の仕組みがきちんとできていること。登録さえどうにかクリアすれば
Webから普通に申し込みが出来るのに、なぜ「ガラケー」所有をユーザー登録の必須要件
として、リピーターとして有望なビジネスユーザーを拒んでいるのだろうか。

行きはともかく、帰りは手荷物ピックアップで並んでる間にスマートに予約したいものだ。
新幹線や国内線の飛行機のユーザビリティを参考にしていただきたい。

■速達性へのこだわりの甘さ

日暮里が遠かろうが、予約しにくかろうが、とにかく圧倒的に速いんだから文句いわずに乗れ!
という「ツンツンキャラ」なら理解できる。実際、新型AEの車両スペックや、新しく建設した
部分の軌道にはそのポテンシャルがあると思う。が、しかし、ここでも詰めが甘い。

日暮里から36分は圧倒的に、速い。NEXで遠回りしたり、リムジンバスで渋滞に巻き込まれる
ことを考えれば確かに魅力的だ。ただ、重要なのは感覚面では日暮里から36分で
第二空港ビルに着くことではなく「なんとなく速かったね、また乗ろうね」という印象だったり、
冷静にファクトでとらえれば自宅から空港までの総所要時間なのである。

感覚的な面では、高砂やや過ぎるくらいまでのタラタラした走行が気になる。「本当にコレ
36分でつくのかな?」と不安にさせる。過密ダイヤやカーブの多さで速度が出せないのは
わからなくもないが、速達性を肌で感じさせたいのであれば、このあたりもう少し改善が
必要だろう。後半がんばって160km/hで走らなくても、前半そこそこクリアラップがとれて
さえいればそれでOKな気がしてならない。

総所要時間の件、ターミナル駅としての日暮里の便の悪さを再び蒸し返すつもりはないが、
せめて運転間隔はどうにかすべきだろう。現状、成田スカイアクセスは1時間に2本

これを多いと捉えるか、少ないというか微妙なところだが、「速達性」をウリにするならば、
待ち時間の期待値をもう少し減らすべきだろう。成田スカイアクセス以外にも、従来の
路線を走る「シティーライナー」や特急券不要の「特急」が成田空港を目指して走っている。

沿線住民への配慮もわからなくもないが、成田空港に早く行きたい利用者層向けに、
「待たずに乗れる安心感」をもっと訴求すべきだろう。36分でつくとはいえ、20分待ったら
いままでとあまり変わらない。せっかく走行正味時間が36分であるという武器を持っているなら
もう一歩踏み込んで、待ち時間の極小化にも気を配って欲しいものだ。

運転本数を増やすのはオトナのしがらみで無理!ということなら、せめて日暮里駅の
ライナー券販売機を増やすくらい、してもよいのではなかろうか。新幹線の東京駅や、
羽田空港国際線のキオスク端末の多さをベンチマークにして欲しい。

と、好き放題書いてみたが、車内は非常に快適だ。揺れは少なく、各座席に電源もあるし、
トンネル以外はE-mobileも入る。NEXやリムジンバスから乗り換えるだけの価値は
確かにある。故に、もったいない。関係者の方々のご苦労は察するが、せっかくの強力な
武器の威力を十分に発揮できていないのは非常にもったいない。

同じく強力な武器であるWindows Azureを手駒にもつ身として気を引き締めつつ、
成田スカイアクセスの今後のさらなる発展に期待したい。

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