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名刺管理はやめました、の話

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今週のお題が名刺管理術ということで、「名刺を管理しなきゃ」と思っていた学生時代の話をしようと思います。
当時学生団体に所属しており、学生向けのセミナーや学生-社会人間の交流会を開催したりして初めて名刺に触れ、そこから学んだことです。

名刺。それは学生にとっては「社会」を象徴するアイテムの一つ。
名刺交換なるものを初めて経験し、家に帰ってから意味もなくいただいた名刺を眺めてニヤニヤしていた学生の頃の自分。
いっぱいたまったらデジタル化してみようかな、とか、オトナの世界を垣間見た気がして妄想は広がるばかり。最初は、名刺交換をすること自体が嬉しくて、それだけで満足していました。

それから幾ばくかの月日は流れて、いただいた名刺も溜まってきた頃。
そろそろ管理方法を考えてもいい頃かな、と思って名刺の束を見返しました。

そして気づきました。


あれ、名刺、全く活用してない!!


そもそも手元にある名刺の機能とはなんでしょうか。
namecard1.gif
それは、相手にアプローチすることを可能にする情報を有すること。ちょっと回りくどい言い方ですけど。上図の点線矢印の状態のことです。アプローチすることで実線になると考えてください。
namecard2.gif
なので、名刺をきっちり管理するとはこういうことだと思うのです。
アプローチすることを想定して、準備しておく、と。

矢印を実線にするとき、それは目的があるときですが、全ての人に対して何らかのアクションを起こす必要などありません。目的もなく連絡を取るぐらい仲良くなっていればSNSなど何らかの形でつながっているので、改めて名刺を見返す必要もありません。要するに、滅多に名刺を活用する機会がないのです。

更に、極まれに以前名刺をいただいた方に連絡を取りたいと思った時もありました。しかしそういう場合は、仲良くしていただいているオトナにお願いして紹介してもらっていました。その方が、スムーズに事が運ぶので。なので結局名刺は出番がなく。
というわけで上に挙げた図中の矢印を自ら実線にすることはほとんどなく、その管理コストには見合わないとして管理は放棄しました。
放棄した結果、人脈関係図は以下のようになりました。
namecard3.gif
□=自分、△=キーマン、○=相手、です。とにかく、ハブとなるキーマン数人とひたすら仲良くなるのです。だから、根元の部分の矢印は双方向。そうすることで、その人の後ろにあるコネクションとも繋がれます。ここでの信頼関係が強固になればなるほど、後ろに付随するコネクションも拡大します。
自分の直接の管理区域は最小限にする、他力本願クラウド型人脈管理システム。

そもそも、コミュニケーションをとるというのは矢印が双方向になって初めて成り立つこと。
しかし先ほどの矢印、実線にしてみたところで双方向にするためには努力が必要です。
対等なgive and takeが成り立つビジネスの関係ならまだしも、takeばっかりになってしまう学生対社会人では矢印を双方向にするのはなかなか大変です。
その時にも紹介という後ろ盾が大きな力を発揮します。

ただ、紹介して欲しいと思ったときに快く紹介してもらえるかどうかはキーマンとの矢印が本当に双方向になっているかにかかっています。
そこはもう偏にお互いの信頼関係が成せる業でしょう。
そういう「力になってくれるオトナ」を増やすことは、名刺獲得枚数を増やすことよりずっと大切だと気づきました。

ツールやガジェットといったライフハックの類は、使いこなせないとまずい気がしてならない時期がありましたが、その実体は単なる管理です。
「管理」自体はどんなに上手に実行してもコストでしかありません。
まず目的があり、その先にコストに見合う利益が得られるのかどうかを考えることが重要です。
私にとっては、100枚の名刺をきちんと管理するよりも、1人の信頼する仲間を大事にすることの方がずっとずっと大切でした。

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