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エディターズ・ハイの体感に向けて

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 「俺たちもう終わっちゃったのかなあ」「バカヤロウ、まだ、始まっちゃいねえよ」と思わず口を突いて出てしまう今日。ついカットとなって書いた「諸君 私は編集が好きだ」を引き継ぐ形でエントリを更新したい。

 このエントリの想定読者としているのは、広義のWeb編集者、しかも若い編集者もしくは今後そうした職に就こうとしている方である。これらの人たちが何かを書くときに役立つような編集スキルを体系化して提供できればと考えている。ただし、一般にWebメディアといわれるようなサイトで編集活動を行っている現役編集者の中には、不幸にもこうした編集スキルを習得しないまま年月を重ねている者も少なからず存在している。このため、そうした方々にとっても一度Web編集のスキルを構造化して示すことは意味があることではないかと考える。

 「諸君 私は編集が好きだ」に見られる感情は、本ブログでは「エディターズ・ハイ」と呼ぶことにする。これは、自分がこの1年近く、毎日エンドレスで流している「Infomation High」という曲に由来する。編集活動というのは、情報過多な現代にあって、それらを再構築し、読み手が必要とするものを必要な形で届けることである。そうした活動を通して得られる至福の瞬間は、まさしく「エディターズ・ハイ」と表現すべきもので、これを誰にでも体感できる形で提供するための技術論を述べるのが本ブログの当面の目的となる。

編集プロセスは第5世代まで登場したが、主流は第3世代

 編集スキルについて触れる前に、現代の編集作業、とりわけここではプロセスの部分に目を向ける。大ざっぱに分類すると、現在、最先端の編集プロセスは第5世代に位置する。編集者が手渡しもしくはバイク便などで原稿をやり取りしていた時代を第1世代とすると、第2世代はFAX、第3世代はメールとなる。そして第4世代はバージョン管理システムを用いた編集であり、第5世代はオンラインかつ複数人によるリアルタイムチームエディットである。自分の周りを見ると、どのWebメディアでも第3世代の編集プロセスをよく知る方々が役職的には編集長や副編集長といった地位に就いていることが多い。そのため、編集部などの組織レベルでは、第3世代の編集プロセスが標準的に利用されることになる。第4世代以降の編集プロセスを経験した人間からすれば、旧世代の編集プロセスの非効率さに驚くばかりだが、現実には第3世代の編集プロセスが主流である事実をまず挙げておきたい。

 本ブログは旧世代の編集プロセスを否定するものではないが、より「エディターズ・ハイ」を体感しやすい環境は、新世代の編集プロセスである。よって、以後は第4世代以降の編集プロセスをベースに筆を進めることにする。

 第4世代はバージョン管理システムを用いた編集プロセスであることは上述した通りだが、要は原稿をバージョン管理しながら進めていくものである。開発者でもプログラミングにgitなどを用いるケースが増えていると思うが、基本的にはそれと同じである。違うのは、編集者の怠慢がバージョン管理システムへの理解を阻んでいるということだ。この怠慢はマスゴミへの第一歩であることは疑いようもなく、全力で忌避すべきものである。

 編集プロセスというのは案外大きな心理障壁となって編集者の前に立ちはだかっており、特に第4世代以降はGUIなどが整備された形で提供されることはまれであるため、往々にしてハードルが高いのは事実である。しかし、それを言い訳にしていては真のエディターズ・ハイは体感できないとわたしは考える。

 「諸君 私は編集を 地獄の様な編集を望んでいる」とわたしは心から思う。その先にエディターズ・ハイがあるからだ。次回は、第4世代以降の編集プロセスについて詳しく取り上げたいが、すでに第5世代も登場しているのだから、そちらを中心に取り上げる予定である。ブロガーを含めたすべてのエディターに Happy Editing!

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