Skypeもバンドル、欧州モバイルインターネットの先駆者を目指す3の「X-Series」
このところ、モバイルインターネット関係のエントリが続いているが、今回は先週、香港を拠点とするHutchison Whampoaが発表した「X-Series」を紹介する。
Hutchison Whampoaは“3”というブランド名でモバイルオペレータ事業を持つ。3は文字通り、3Gのことでネットワークは3G(WCDMA)のみしか持たず、欧州では英国、イタリア、オーストリアなどで展開している。
サーバーの名称と間違えそうだが、「X-Series」は今後の3のモバイルブロードバンドのベースとなるプラットフォーム。つまり、パケット定額制で、ユーザーは通常の自分の契約プランとは別にオプションとして加入することで、各種データサービスを無制限に利用できる。
日本では珍しくないパケット定額制だが、従量課金が圧倒的主流を占める欧州では革新的なサービスとなる。しかも、VoIPでは「Skype」、IMでは「Windows Live Messenger」「Yahoo! Messenger」、検索を含むインターネットサービスでは「Google」「Yahoo!」、PCへのアクセスに「Orb」、モバイルTVでは「Sling」、オークションの「eBay」とサービスをセットにした。
これに合わせ、「X-Series」対応携帯電話として「Nokia N73」と「Sony Ericsson W950i」が発表されている。
Skypeからみると、Windows Mobileに続くモバイル分野進出となる。通常のSkypeと同様に、Skypeユーザー同士の通話は無料で、SkypeIn/SkypeOutも利用できるようだ。なお、IDC News ServiceのNancy Gohringさんの記事によると、現時点では「Nokia N73」しかサポートしていないというが、「X-Series」のWebサイトではW950iでもいけそうな様子。どうなんだろうか?
3は、欧州では3Gサービスを最初に開始した(それも、2003年3月3日)挑戦者で、今回の「X-Series」も、自分たちがモバイルインターネットを開拓するという意気込みが見える。同社によると、今後200億ドルをこの分野に投資していくという。
3のローンチから1~2年は、「まったくの新規参入で、しかも3Gのみを提供するモデルで成功するのだろうか?」と批判的な向きもあったようだが、少しずつ少しずつ、シェアを侵食してきている。現在、英国のユーザー数は320万人。3の強みは、ユーザーが全員3Gを利用していることだろう。今回の「X-Series」のようなサービスも、まだまだ2.5Gが主流を占めるVodafoneやOrangeなら“まだ機が熟していない”と判断するところではないか。
X-Seriesは英国で12月1日より、それ以外の市場では来年1月より開始する予定。価格は、現時点では発表されていない。
ちなみに、Vodafoneら大手はeasyMobileの英国市場の(一時)撤退を受け、今後オペレータの統合が起きると予言、VodafoneのCEOは3の獲得に関心を示したと報じられている。
*写真は、ロンドンにある3ショップ