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孔雀の羽とオープンソース

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先週の話になるが、Euro OSCONでの話。

今回のEuro OSCONは、オープンソースソフトウェアの技術云々よりも、オープンソースの動きが業界を初め、ビジネス、社会に与えた影響を分析するセッションが多かった。

20092006_080中でも、満員となったセッションがデンマークの作家、Tor Nørretranders氏の「Dare, Care & Share」だ。ウイットに富む切り口に、室内の参加者からは笑いとうなりが起こった。

テーマは、人はなぜ他人と違うことをするのか。ーーこれについて、Nørretranders氏の意見は、「自分の質を見せるため、男性の場合セックスのため」と述べる。たとえば、“この10年の間に月に行く”と宣言した故John F. Kennedy米大統領、そのとき、大統領は「簡単だからする(=月に行く)のではない。難しいから行くのだ」と続けたという。「これは政治家のコメントとしては珍しい」とNørretranders氏。人が難しいことをするのは、だれかを感心させるためだ。「(大統領の場合)女優のM氏だったのか、ソビエト連邦だったのかは分からないが」。

20092006_065_1Nørretranders氏はここで、孔雀について触れる。孔雀が羽を広げるのは異性をひきつけるため。かのダーウィン(Charles Darwin)は知人に宛てた手紙で「孔雀の羽を見ると気分が悪くなる」と記したという。ダーウィンは、『On the Origin of Species』(『種の起源』)』の執筆で知られるが、この手紙は『種の起源』の6ヵ月後に書かれているのだそうだ。そうやって誕生したのが、『The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex』(『人間の進化と性淘汰』)。これは、女性が人類の進化をコントロールするという理論で、Nørretranders氏はこれを、“ダーウィン 2.0”と名付ける。

さらには、Amotz Zahavi氏の「The Handicap Principle(ハンディキャップ理論)」にも話が及ぶ。

20092006_075このように、人類は人を感心させるため、驚かせるため、あるいはひきつけるため、自分の力を示すため(「男性の場合、セックスのため」・・・会場から笑いが起こる)、さまざまな方法をとる。

ここでNørretranders氏は話をオープンソースにもっていく。多くのオープンソース開発者の“無償でコードを書く”という行為は、自分には共有するリソース(=時間やスキル)があることを示す行為ではないか、とNørretranders氏は分析する。これが、人の関心をよび、得ようとするもの(「セックスだったり仕事だったり」)をゲットする・・・・・・。

Nørretranders氏がこのような自論を込めた著書『Umage giver mage』は日本語版もあるようだ。時間があるときに読んでみよう。

Nørretranders氏のスピーチはテンポよく、スムーズ。作家(書くのが上手)だからといって、話し上手とは限らない。すごいなあ。

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