もうスイッチは押させない
ここで言っても不毛なのは分かっている。だが男の子たちに言っておきたい。
いいか。私の鼻の下にあるものはホクロであって、何かのスイッチじゃないんだー!
数年前、窓の外から年配女性と小学校低学年くらいの男の子の声が聞こえた。歩いているようだったのでそのまま通り過ぎると思いきや、男の子だけがうちの近くで止まり豪快に泣き叫び始めた。その声の大きいこと。なかなか止みそうにないので玄関を出て「どうした?」と声を掛けてみた。
最初は興奮してひどく拒絶していたが、次第にうち解け「おばあちゃんに叱られた」と経緯を話せるようになった。その祖母は数軒先の玄関からちらちらとこちらをうかがいつつ「迷惑かけるんじゃないよ!」とまた怒っていた(苦笑)。
「おばあちゃんに嫌われるのが怖かったんだね」
「・・・うん」
落ち着きを取り戻したころ、男の子は筆者の顔をじっと見つめこう言い出した。
「・・・それ、押していい?」
どおおりゃあああ。泣きやんだと思ったら、言うことはソレか!なぜコレに興味を持つ!
・・・と言いたくなるのをぐっとこらえた。そういえば甥もホクロに興味を持っていた。おもちゃのスイッチを思わせるのだろうか。
やめれ!押すんじゃない!男の子たち!
もうなんだか、押されそうになるだけで筆者に何かのスイッチが入ってしまいそうだ。まあそんなこんなで、このホクロはどうにかしたい。直径数ミリ、少し隆起している(だからスイッチに見えるのか?)。でもいい医者がいればねえ。
少し前からいろいろと調査していたが、今日時間ができたので初診してくれるところに出掛けてみた。拡大カメラで見るとホクロは内側に血管ができているそうで、放置すればこの血管から栄養をもらいむくむくと育ってしまうそうだ。ああなんて恐ろしい。
今日は時間が空いているから処置してくれるとのこと。まだ心の準備ができていなかったが、何回も足を運ぶのも面倒だしやってもらうことにした。レーザーで焼いて処理するそうだ。
「鼻の下だから焦げる臭いをかいでしまうので、口で息してね」
じじじじじじ。おお、この臭い。子どもの頃、電気ストーブで髪の毛を焦がして遊んだ時の臭いだ(こら)。手術はあっという間に終わり、ばんそうこうを貼ってもらった。傷が治ると皮膚が赤くなり、赤みがひくまで半年から1年くらいかかるらしい。それまでは日焼けに注意とのこと。領収書には「良性腫瘍」とあった。
これで男の子たちに狙われがちなスイッチは処分した。もう押させない。
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これとは全く関係がなく、あえて言うことでもないが、こちら記事にある加山さんとは筆者のことではない。ちょっとびっくりした。親せき以外で同じ名字を持つ人にほとんど出会ったことがないので(汗)