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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

エビと藻とバクテリアの生態系観察

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 商品名ならビーチワールドまたはホロホロとなる。前から欲しかったのだが、ようやく先日購入した。

 マンハッタンにあるアメリカ自然史博物館のローズセンターには地球や天体に関する展示物が数多くあるが、それとはやや異彩を放つ展示物がある。人間が入れるくらいの大きな球体に茶色いサンゴのようなものがあり、近寄って目をこらすと小さなエビが無数に泳いでいる。これは生態系を考える展示で、密閉された球体の中でエビと藻とバクテリアが光合成と食物連鎖を作りあげている。地球外の研究にも使われたそうだ。

 エビ愛好家というわけではないが、いつしか興味を持ち「ほしいなあ」と思うようになった。当初はビーチワールドのサイトを眺めていたが、そうお安くはない。数万円するので衝動的には買えず、何かのきっかけ(または言い訳)を模索していた。

 前にアメリカ自然史博物館に行った時、お土産品コーナーでこのビーチワールドの値段を見ると小さいもので65ドル、大きいもので250ドルだった。日本で買うよりもはるかに安い。

 うらめしそうにショーウィンドウにへばりつくように眺めていたら、店員が笑顔でやってきた。ダメモトで筆者は「ねえ、これ、日本に持ち帰ることができると思う?」と訊いたら店員は「それは……だめね。検疫は大丈夫だと思うけど、飛行時間が長すぎて死んでしまう」と言った。やっぱりねと落胆したら店員は「見る分には構わないから好きなだけ見て行きなさい」と励ましてくれた。……のだろうか。

 後から未練がましく考えたが、スーツケースの中だと振動はおろか荷物室の低温でエビがやられてしまう。機内持ち込みだと気圧も心配だが、なによりも「液体」とみなされたら完全にアウトで没収されてしまう。持ち帰れる保証がなければ買っても無駄になるので結局断念した。

Ebi  しかし似たものならほかにもある。都内のハンズではホロホロというのが売っている。新宿店ならペットのフロア、アントクアリウムの近くだ。内容物としてはほぼビーチワールドと同じ。違うのは密閉されていないことと(それで蒸発分を補う補充水が売られている)、より小型であるということだ。ホロホロだと狭くてエビがかわいそうかなと思って遠慮していたが、この値段ならまずは試しに買ってみるのもいいだろうという気になってきた。

 先日ハンズに出掛けたらホロホロが置いてあるコーナーにホロホロがなかったが、店員に訊くと奥から出してくれた。わざわざ出してくれたこともあり、またこれまで客に壁面を叩かれたり揺らされたりしていないはずなので弱まっている可能性は低い。それにエビは通常5~6匹らしいが目の前のものには7匹いるのでラッキーと思い、補充水と一緒に購入した。

 今では直射日光を避けた明るい屋内で7匹のエビが泳いでいる。よーく見ると手元をしゃかしゃか動かして何かしている様子が見える。小さな生態系を見ながらいろいろと思いを馳せてみたりする。

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