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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

オフィスでバーチャル「犬の散歩」

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 内田洋行の潮見オフィスには「協創工房」という実験空間がある。そこで面白い犬に出会った。

 ここでは技術を駆使していながらも、とても人間にやさしいインターフェースで学習や作業を行うための空間が展示されている。残念なことに一般公開はされていないが、ショールームも兼ねたミーティング部屋になっており、中を見る機会があった。

 いろいろな展示があるなか、個人的に目をひかれたのが取っ手付きの車輪。車輪に金属棒または革ひもがついており、取っ手もある。これは何なのか。

 「犬の散歩です」

 ほんと?と訊くと、「本当」だという。オフィスに潤いというか、癒しというか、犬を想定したオブジェだそうだ。

 「でもそれ、目をつけるのは男性が多いんですよね。車輪がついているせいか」

 え。筆者は車輪フェチではない(と思う)のだが、・・・なぜだろう。だが見た目からして何をするためのものなのか、不思議ではないか。たぶん、見た目がどこか現代アートのような雰囲気もあるからひかれたのではないか(と思う)。

 最初は無機質な車輪と取っ手で不思議だったが、「犬」と説明されたらその意外性でさらに興味を増してしまった。ここが単なる車輪フェチとは違うところだ(と思う)。

 車輪と取っ手を通じてそこに「犬」がいると想像する。ちょっとなんか面白い。ミーティングの休憩時間には本当に散歩(した気持ちに)させてもらった。

 「アイン、おいで!」

 といいながら、取っ手付きの車輪を引きずりながら部屋を周回した。

 車輪はわざと緩く組み立てられているらしく、引っ張るとまっすぐに進まない。ちょこまかと左右に揺れながらついてくる。そこがどことなくファジーで、生き物らしさを感じるようになっている。ただ当然ながら自走できないので、「犬に引っ張られる自分」は体験できないのだが、「犬を引っ張る自分」はバーチャルに体験できる。

 「・・・なにやってんですか。加山さん」と周囲。
 「犬の散歩でつ」

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